トラブル・イン・ハリウッド

トラブル・イン・ハリウッド “What Just Happened”

監督:バリー・レヴィンソン

出演:ロバート・デ・ニーロ、ショーン・ペン、キャサリン・キーナー、
   ジョン・タトゥーロ、ロビン・ライト、スタンリー・トゥッチ、
   クリステン・スチュワート、マイケル・ウィンコット、ブルース・ウィリス

評価:★★




 最も面白い場面は序盤にある。過激な結末ゆえにテスト試写の反応が悪かったのが不満のスタジオ女社長が、監督に再編集を命じる場面だ。利益を最重要だと考えるスタジオ側と、芸術性(自分の意思)を最優先事項に掲げるクリエイター側。普段からよく聞く両者の衝突が、キャサリン・キーナーとマイケル・ウィンコットというクセモノふたりによって再現される。キーナーの無表情もウィンコットの過剰な反応も、バカバカしくもプロフェッショナルな感じが出ていて、思わず吹き出す。特にウィンコットの泣きの入り方に大笑い。駄々っ子か!

 この場面は映画を象徴してもいるだろう。現場にはもう一人いる。ロバート・デ・ニーロ演じる映画プロデューサーだ。デ・ニーロはふたりの間に立って、なんとか事態を丸く収めたいと四苦八苦。どちらにつくでもなく上にゴマを擦り下にも敬意を払いと気遣いの連続。『トラブル・イン・ハリウッド』は仕事も私生活も崖っぷちに立たされた男の「プロデューサーはつらいよ」的物語なのだ。

 映画タイトルや映画人が実名で登場し、ショーン・ペンやブルース・ウィリスが自分の役で顔を見せる大サーヴィス(しかも結構大役)。テスト試写や資金繰り、映画化に向けた交渉や映画祭といった映画業界ならではのモチーフも次々出てくる。映画そのものはもちろん、その舞台裏も興味がある者としては、それだけで楽しい気分になる。

 ただ、特別映画好きではない人、或いは舞台裏なんかに全く興味のない人にもアピールするかというと、大いに疑問だ。主人公が右往左往するばかりの物語は一向に進展しないし、散りばめられた笑い(皮肉・風刺が意識されている)は内輪受けで終わるものが大半。カタルシスも全くない。そもそも主人公は歩き回ってはいるものの、具体的に何をしたというところが全然出てこないのだ。「プロデューサーはつらいよ」と叫んで、それで終わり。本当に有能なプロデューサーなのか!?

 ハリウッド内幕物はこれまでにもたくさん作られてきたけれど、ロバート・アルトマン監督が「ザ・プレイヤー」(92年)で同ジャンルにトドメを刺して以降は、それを超えられた作品はない(ウッディ・アレン監督の「ブロードウェイと銃弾」(94年)は最高だったものの、ブロードウェイ内幕物だし)。ハリウッドを取り上げるとどうしても賛美ではなく皮肉めいた作りになるのは分かるけれど、見せ方を工夫しないと似たり寄ったりの生温さが気持ち悪いことになる。ここはひとつコメディではなくて、シリアスに徹してみたら、それも「ド」のつくシリアスに徹してみたら、案外面白いかもしれない。

 ちなみに…いちばんの皮肉は、この映画そのものの出来映えがよろしくないことだ。カンヌ国際映画祭で上映される映画の内容には誰しもが仰天、主人公はますます窮地に追いやられる。『トラブル・イン・ハリウッド』はその代わりに上映したとしても、何の違和感もないことだろう。まさかバリー・レヴィンソン監督はそれを狙ったのではないだろう。「レインマン」(89年)を撮ってしまうくらいだし。





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