タイタンの戦い

タイタンの戦い “Clash of the Titans”

監督:ルイ・レテリエ

出演:サム・ワーシントン、ジェマ・アータートン、マッツ・ミケルセン、
   アレクサ・ダヴァロス、ジェイソン・フレミング、レイフ・ファインズ、
   リーアム・ニーソン、リアム・カニンガム、ニコラス・ホルト、
   ポリー・ウォーカー、ピート・ポスルスウェイト、エリザベス・マクガヴァン

評価:★★




 ギリシャ神話を豪快に取り入れた『タイタンの戦い』は81年の同名映画のリメイクなのだけど、オリジナルについて詳しくは覚えていないため、比較はできない。それよりもほんのちょっと前に公開された「パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々」(10年)との比較をしてしまう。いや、ギリシャ神話を組み込んでいるという点以外に共通項はないと言って良い、全く別物ではある。あるのだけれどしかし、ギリシャ神話への向き合い方という点で、照らし合わせてみたくなるのだ。「パーシー・ジャクソン」は寛大に観られたのに、『タイタンの戦い』ではそれが難しい。

 何と言うか、作り手のホンキが空回りしているようにしか見えないのだ。「パーシー・ジャクソン」はギリシャ神話をそのまま取り込んでもそのロマンティシズムを浮かび上がらせるのは困難だと承知し、現代社会にそれを引きずり込むという、案外ダイナミックかつユーモラスなアプローチになっていた。ここにはそういう余裕がなく、どこを切り取ってもホンキなのだ。マジなのだ。ギリシャ神話に真面目に取り組み、それゆえの窮屈さで息が苦しそう。

 マジというのは、神話通りに映画化しているということとイコールではない。最低限のリアリズムを忘れることなく、真正面からその世界観に息を吹き込んでいるということだ。出てくるクリーチャーはおそらくオリジナルに忠実なはずで、それらをもっともらしく再現し、なおかつ大マジメに話を語っていく。「どうだこれが俺たちのギリシャ神話の解釈だ!」と言わんばかりの正面突破。そうして作り手は現代の最新CGをこれでもかとつぎ込んだ映像を突きつける。

 結局映像にロマンティシズムが感じられないのが致命傷になった。ギリシャ神話の世界をそのまま提示しようというのであれば、そこに生きていくロマン、戦うロマンが溢れてなくてはならない。それこそがギリシャ神話の醍醐味のひとつだからだ。ところがここにあるのは技術にモノを言わせた冷たい映像だけである。単なるモンスター映画でしかないと言っても良い。作り手の美意識が入り込み難い加工された画面では、そこに艶が出ようはずがない。そちらに割いた半分の力を脚本に注ぐべきだっただろう。

 神々を演じる俳優としてリーアム・ニーソンやレイフ・ファインズという大物が起用されているのだけれど、その扱いの酷さには眩暈を覚える。いや、本人たちは楽しんで演じているようにも見える。見えるけれどしかし、その前に鏡を見てみてはいかがだろうと言いたくなる安っぽく哀れなメイクで、出てくる度にコント映画かとギョッとする。…かと思えば、重要なキャラクターであるメドゥーサはCGにより処理され、完璧に作り物。美意識の欠如が退屈を誘う。

 唯一の救いはサム・ワーシントンを始め人間を演じる役者の肉体が動いていたことだろう。「アバター」(09年)のようには全編CGにはなっておらず、自然を活かしたロケーション撮影の中アクションもたっぷり。ちゃんと人間の息遣いが聞こえる。そんなことだけでホッとしてしまうというのもどうかと思うけれど…。





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