オール・ユー・ニード・イズ・キル

オール・ユー・ニード・イズ・キル “Edge of Tomorrow”

監督:ダグ・リーマン

出演:トム・クルーズ、エミリー・ブラント、ビル・パクストン、
   ブレンダン・グリーソン、ノア・テイラー、キック・ガリー、
   ドラゴミール・ムルジッチ、シャーロット・ライリー、
   ジョナス・アームストロング、フランツ・ドラメー

評価:★★★




 死ぬ度に同じ時間を繰り返すスリラーと言うと、「ミッション:8ミニッツ」(11年)があったばかり。タイムトラヴェル映画の変化球ヴァージョン。突破口はどこにあるのか、それを探る冒険はサスペンスが作りやすい。同じ過ちを繰り返さないことを前提に、徐々に謎が解き明かされていくミステリーになる。「ミッション:8ミニッツ」も『オール・ユー・ニード・イズ・キル』も基本は同じだ。

 同じだけれどしかし、受ける印象は全く違う。後者は設定こそ暗くても、作品の外観まで陰鬱にはならない。ダグ・リーマンは「ミッション:8ミニッツ」のダンカン・ジョーンズほどに哲学性を持った監督ではなく、よって作品は大抵の場合、ハリウッドの王道を行く。この作品もしかり。哲学性よりもゲーム性を意識したエンタ-テイメントの構築に励んでいる。宇宙からの侵略者にどう立ち向かうか。捻りを加えながらも、王道からは外れない。

 しかし、より重要なのは主演がトム・クルーズという点だ。50歳を迎えてなお、ハリウッドのど真ん中を突っ走るクルーズは、小難しさよりも痛快さに愛されるスターだ。たとえ暗闇で黙って立っているだけでも、己が眩しいくらいに輝いてしまうタイプで、そういう男が主演となれば、無理せず娯楽に徹するのが正解だ。

 アクション・スリラーに出るときのクルーズは特殊技能を具えた超人タイプをを演じることが多いのだけれど、ここでは米軍メディア担当という特殊技能とは無縁の平凡な男に扮している。素顔のクルーズが最大限に活かされた傑作「ザ・エージェント」(96年)とは比べ物にならないくらいに臆病かつ卑怯な立ち位置にいる男が、ループを繰り返す度に誰よりも成長していくという、やはりハリウッド王道的ストーリーの中で輝いている。ダメ男がこれぞクルーズと言うべき男へと変身していく過程。そこに大きなカタルシスがある。

 クルーズの相手役を務めるエミリー・ブラントの凛々しさも見もの。鼻筋が綺麗に通ったブラントが、華奢な身体をそうは見せないタフな魅力を発散する。クルーズの派手な存在感にも全く呑まれない。ただし、過剰に目立とうとする馬鹿な真似はしない。ブラントは演技が達者な人だけれど、出演映画に文芸作がほとんどなく、豪快な娯楽映画中心というのが良い。シャーリズ・セロンはブラントを見習うべきだ。

 もちろん謎解き映画としても悪くない。ここは編集の巧さが光るところで、「ループ」を大変効果的に表現している。ループが始まるきっかけとなるエピソードまでは至って普通の編集術。しかし、ループが始まってからは、死ぬ度に過去に遡って生き返るという、ともすればしつこいだけになる危険があるところを、勇猛果敢・大胆不敵な編集術で豪快に畳み掛けていく。足元がもたつくどころか、むしろ速度を上げて前のめりに展開していくのが素晴らしい。スピード感が細かな疑問点を次々吹き飛ばしていく。

 SFの創り込みはもう一頑張り欲しかった。侵略者の造形がありきたりだし、地球軍が装着するバトルスーツもあまり格好良いとは思えない(ただし、それでもクルーズはそれなりに着こなす。さすがスター)。ループの理由が適当な割りに(輸血云々の件は可笑しい)、世界観の処理にやや頭でっかちに見えるところがあるのも気になる。理不尽さに理由を見つける必要はなかったのでは?





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