her 世界でひとつの彼女

her 世界でひとつの彼女 “Her”

監督・声の出演:スパイク・ジョーンズ

出演:ホアキン・フェニックス、エイミー・アダムス、
   ルーニー・マーラ、オリヴィア・ワイルド、クリス・プラット、
   マット・レッシャー、ポーシャ・ダブルデイ

声の出演:スカーレット・ヨハンソン、クリステン・ウィグ、
   ビル・ヘイダー、ブライアン・コックス

評価:★★★★




 スパイク・ジョーンズはやっぱり変な人だ。もちろん褒めている。技術革新が進んだ世界を取り上げると、人工知能を敵に回したスリラーに仕立てるしか能のないハリウッドでジョーンズは、『her 世界でひとつの彼女』を完成させる。パソコンのOSと人間の紡ぎ上げる恋。一方は実体がなく、上手く行くわけがないと思う。けれど…。

 けれど、上手く行って欲しいと願わせてしまうのが、ジョーンズ・マジック。何と言うか、とにかくOSのサマンサが魅力的なのだ。インストール直後は購入主である主人公セオドアと機械的なやりとりだったのが、、瞬く間に自ら進んで知性を蓄積、人間とのコミュニケーションにおいても目覚ましい発達を遂げ、ついには感情まで芽生えさせる。

 OSの方が生身の人間よりも魅力的に見える。それは確かに現代社会への痛烈な皮肉だ。しかし、サマンサの感情は決して、OSならではのそれではない。「あなたの隣を歩きたい」と願い、「この感情は本物なの?プログラムなの?」と思い悩む。忙し過ぎて自分と向き合うことも難しい人間を横目に、サマンサは人間性を膨らませていく。

 結局サマンサは暴走を始める。けれどこれが奇妙で可愛らしい。良くも悪くも人間的で、そして良くも悪くもコンピュータ的な発想で、その根底には「思いやり」が見え隠れするのが嬉しい。あぁ、やっぱりサマンサはイイオンナだと思わせる。スカーレット・ヨハンソンのハスキーヴォイスは日本人にはこってりし過ぎかもしれないと思いつつ、いやいや、聡明さと妖艶さが同居しているのが良い。初めは英語教材のお手本のようだった口調が、少しずつ砕けていくのも悪くない。

 サマンサとセオドアが関係を深めれば深めるほどに(もちろんユーモアたっぷり)、人間の孤独が身に沁みる。それを憐れむのではなく、それと付き合ってこそ人間なのだと声をかけられているような不思議な感覚。セオドア役のホアキン・フェニックスが繊細に魅せる。髭面もあって最初は競馬場に向かうオッサン以外の何者でもなかったのが、クマのぬいぐるみ的愛らしさを醸し出してくる。

 ジョーンズのヘンテコな個性は近未来描写の細部にも宿る。もはやマウスもキーボードも必要のないパソコン・ワールド。声だけで思い通りの作業が実現する。目に優しくもオシャレな色彩感覚とやけにレトロステペクティヴ音楽センスが奇妙なダンスを見せる。

 結末は特に意外性のあるものではない。まあ、そうだろうというところに落ち着く。…にも関わらず、晴れ晴れと気持ち良く、でもちょっとだけ寂しい複雑な余韻あり。サマンサが確かに存在したという感触のおかげだ。いつまでもサマンサの声が耳に残り続ける。ヨハンソンはこれで、世界一有名な声を獲得したのではないか。





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