トランセンデンス

トランセンデンス “Transcendence”

監督:ウォーリー・フィスター

出演:ジョニー・デップ、レベッカ・ホール、モーガン・フリーマン、
   ポール・ベタニー、キリアン・マーフィ、ケイト・マーラ、
   コール・ハウザー、クリフトン・コリンズ・ジュニア

評価:★★




 人工知能は映画と関わりが深い。技術革新を甘く見た人間たちの前に、「敵」として立ち塞がるのが常だ。「ターミネーター」(84年)や「マトリックス」(99年)、「イーグル・アイ」(08年)等で、人類の大変な脅威として登場した。ベースはやはり「2001年宇宙への旅」(68年)か。過信は禁物。方向と力量を見誤れば、簡単に人類はとっちめられる。警鐘の意味合いが強くなるのが人工知能映画で、それは結論が見えていることを意味する。クローン映画との類似点も多い。

 『トランセンデンス』もどういう結末になるのかは大方の予想通りだ。ハッピーエンドにしろそうじゃないにしろ、コンピュータ頼みの社会が讃えられることは決してなく、その点で何の意外性もない。作り手もその点は承知していたのか、人工知能が暴走する話を軸に置きながら、それを装飾する脇の物語をふたつ用意している。夫を亡くした妻の愛の物語と自らも関わる最新技術の世界への脅威からテロ組織に傾倒する男の物語だ。そしてどちらかと言うと、そちらの方が面白い。

 とりわけ妻の物語は胸を打つところがあり、これはもう、演じるレベッカ・ホールのおかげだ。死んだ夫の意識をコンピュータにインストールしてモニター上に夫を蘇らせるという、傍から見れば愚かでしかない女の行為をどこかで納得させる。今目の前にいるのは本当の夫ではない。心のどこかで分かっているのに、それでもそれに縋りたくなる、愛の複雑さを決して多角的ではない演出の中で魅せる。愛の危うさは、テクノロジーの危うさに匹敵する。その痛みを魅せる。

 作り手が完全に良識派に回っているのは退屈の原因だろう。技術の進化はこんなに素晴らしい。例えば、一瞬にして障害を抱える者から障害を取り除いてしまう件や、瀕死の患者の命をアッという間に救ってしまう件など、もう少し技術拝跪の側面を強調しても良かったのではないか。最初から妻以外、恐れしか抱いていないので、予め用意された結末に向かって突き進む感じが、いよいよ強くなる。

 監督のウォーリー・フィスターはクリストファー・ノーラン映画等の撮影監督として知られている人ゆえ、映像がどうなっているのかは気になるポイント。ただ、これが拍子抜けも良いところで、スタイリッシュに撮られてはいるものの、それ以上の奥行きある楽しさはない。暴走を始めた人工知能が街を揺るがせる後半にやや目に残る画があるものの、これは撮影ではなく視覚効果が物を言っているに過ぎない。演出はのっぺらぼうと形容するのは言い過ぎか。豪華な配役も完全に無駄遣い。

 ジョニー・デップは今回、ほとんど何もしていない。無表情に映ったモニターからぼそぼそ喋るのみ。いちばんの見せ場は銃弾に倒れてから息絶えるまでの、今にも死にそうなメイクのショットか。コスプレ好きのデップらしい。頭に管を何本も通されてうつろな目で見つめるショットも、デップ的だ。ノーメイクだと最近、フツーのオッサンになってしまうしな。





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