時効前夜 ある女の告白

時効前夜 ある女の告白 “Arrêtez-moi”

監督:ジャン=ポール・リリアンフェルド

出演:ソフィー・マルソー、ミュウ=ミュウ、
   マルク・バルベ、ヤン・エボンジェ

評価:★★




 邦題にある『時効前夜 ある女の告白』とは、10年前、自殺と判断された夫の転落死は、自らの手によるものだったというもの。妻は日常的に暴力を受けていて、その瞬間、これまでの鬱憤が噴き出し、咄嗟に夫を殺してしまった。あぁ、私を罰して下さい。そんなことを言うのなら、担当する女刑事はさっさと逮捕してあげればいいじゃないかと冷たく思うわけだけれど、これは映画、しかも刑事がミュウ=ミュウで、告白するのがソフィー・マルソーだ。そんな簡単に行くわけがない。

 前半はフラッシュバックを利用してマルソーが経験したDVの詳細が紡がれる。言葉の暴力は当たり前。素手で殴られ、フォークで刺され、アパートから締め出され、時にはレイプされることもある。こんな男、殺されても仕方がないじゃないか。でも、殺したところで終わらないのが、DVの恐ろしいところだと語りかけるところがミソだ。女が未だに悩まされるDVの影。女が時効直前に自首してきた理由も含め、それがクライマックスに明らかにされる。

 刑事は妻を逮捕しない。それどころか「秘密は土に埋めて、腐らせてしまいなさい」と言う。女同士にしか分かり合えないだろう、低温の連帯感。ミュウ=ミュウがそれを丁寧に見せる。マルソーに対する複雑な思いの裏には自らの過去も影響していたとちらつかせながら。

 映画が言いたいことやこういう構成を採った理由は分かるものの、映画向きの題材ではなかったようだ。何しろ大半はマルソーとミュウ=ミュウが警察署内、ふたりだけで語り合う場面だ。画面に動きがつき難い。回想シーンで抑揚をつけようとするも、それだけでは物足りない。そのため本来のテーマから外れて、逮捕されたい女と逮捕したくない刑事が、不毛な駆け引きを続けているだけに見える。舞台ならば面白くなったかもしれない。

 でもまあ、二大女優は演技合戦に負けないとばかりに気合が入っている。フランス女優の意地のようなものが感じられて、ひょっとして物語よりも製作の舞台裏の方が面白かったのではないかと邪推してしまうぐらい。マルソーはさすがに老けた。三角の垂れ目が、何だか工藤静香に近づいて見えるのは気のせいか。

 DV場面は被害者である妻の目線に絞ったカメラワークで、一切マルソーは映らない。妻と同じ恐怖を味わって欲しいということだろう。狙いは分かるものの、そういう分析が冷静にできてしまうところに、映画の限界が見える。ミステリーとしてもドラマとしても中途半端に終わった。二大女優の演技に集中するのが正解か。





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