サード・パーソン

サード・パーソン “Third Person”

監督:ポール・ハギス

出演:リーアム・ニーソン、ミラ・クニス、エイドリアン・ブロディ、
   オリヴィア・ワイルド、ジェームズ・フランコ、モラン・アティアス、
   キム・ベイシンガー、デヴィッド・ヘアウッド、マリア・ベロ
   ロアン・シャバノル、オリヴァー・クラウチ

評価:★★




 パリ、ローマ、そしてニューヨークを舞台にした3つの物語が描かれる。一見何の繋がりも見えない彼らだが、しかし…という群像劇で、しかも監督がポール・ハギスと来たら、思い出すのはもちろん「クラッシュ」(04年)だ。「クラッシュ」後、ハギスは監督としても脚本家としても製作者としても何本も作品を手掛けている。けれど、「クラッシュ」以上の作品があったかというと疑わしいところ。そういう状況で何故、「クラッシュ」路線に戻ったか。

 全くもって想像に過ぎないのだけど、生み出したいものを生み出せない苦悩の末、原点回帰したようにしか思えないのだ。原点に縋ったとまで考えるのは言い過ぎか。とにかく自己模倣という言葉が過ぎるのは辛いところだろう。迷いがそのまま物語に紛れ込んでいるし…。

 幾人もの人生の交錯に共通点が見えないのが苛立ちを誘う。自由に織り上げられているというより、焦点を絞り切れなかった印象だ。予め用意された結末に向かって強引に物語を切り離し、それが散漫を生んだ感。しかもそれぞれの内容が大変淡泊。苦悩自体は深刻なものもあるけれど、斬り込み角度が浅い。愛を言い訳に使う人間たちが息苦しいままに動き回る。

 そう、用意された人物は皆、思い込みが激しいと言うか、自己愛が過ぎると言うか。とりわけ女たちが暴走する。男たちはと言うと、そんな女たちをやれやれ仕方がないといった表情で包み込む。包容力があることと芯がないことを混同している。彼らの「本当」が見えれば見えるほど、吸引力を失う人々の羅列。

 一枚のメモ用紙をきっかけにそれぞれの物語が己の枠を飛び越えようとし始める。これがまたすっきりしない。頭でっかちな空間で組み立てられた感触。そのまま突入するクライマックスは、ほとんどM・ナイト・シャマラン的オチと言えるのではないか。ハギスよ、笑っている場合ではない。

 結末に到達すれば明らかなのだけど、リーアム・ニーソン演じるスランプ中の作家は、ハギスの分身だ。腑に落ちる。『サード・パーソン』はハギスの、極めてパーソナルな映画だ。己の苦悩を利用してフィクションとノンフィクションの境界で遊ぶ。そこに客観的視点を注がなければ、自己満足に終わるのも当然だ。





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