エグザイル

エグザイル “Being Flynn”

監督:ポール・ウェイツ

出演:ロバート・デ・ニーロ、ポール・ダノ、ジュリアン・ムーア、
   オリヴィア・サールビー、リリ・テイラー、ウェス・ステューディ、
   エディ・ローズ、スティーヴ・サーバス、ウィリアム・サドラー

評価:★★




 『エグザイル』でロバート・デ・ニーロが演じる男は老い先長くはなさそうな年齢ながら、作家志望だ。彼は自分をマーク・トウェイン、J・D・サリンジャーと並ぶ存在だと豪語する。こういう強気の姿勢は嫌いではない。差別主義、犯罪歴等困ったところは多くても、自分を憐れむことを拒む生き方は羨ましい。この男が主人公ならば、エッジの効いた物語が展開するかもしれない。

 …という予測はあっさり吹き飛ばされる。デ・ニーロは瞬く間に免許も車も仕事も寝床も失い、ホームレスと化してしまうからだ。ポール・ダノはずっと音信不通だったデ・ニーロの息子で、彼との交流がちょいと良い話風にまとめられる。何だか無難な人情ドラマに落ち着いてしまった。

 …とは言え、デ・ニーロとダノなので感傷で水浸しの事態は避けられる。とりわけダノの功績が大。このところエキセントリックな役どころを当てがわれがちだったものの、今回は至って普通の青年役。突然の父との再会に戸惑いを隠せない青年の心情を、大袈裟なアクションを封印して表現する。飄々とした佇まいに独特の味がある。デ・ニーロの攻めの演技を丁寧に受け止める。何だか性能抜群のスポンジみたいだ。

 父子の交流ドラマの背景にはアメリカのホームレス問題が横たわる。ホームレス用の宿泊施設がメインの舞台になっていて、その内部の観察が一つの売りのようだ。こんな大きな施設が必要なほどに現実は過酷なのだろう。図書館が放出する蒸気を利用して、ホームレスが換気口の上で暖を取る画が妙に目に残る。一度堕ちた者が社会復帰する難しさ、それを描くところにデ・ニーロやダノは惹かれたのかもしれない。ただし、問題は紹介程度の描写に留まっている。

 ところで、デ・ニーロの冒頭の職業はタクシードライヴァーだ。これが偶然ではなく、意図した上での設定であることは明白だ。ポール・ウェイツはひょっとしたら物語や内包された問題よりも「タクシードライバー」(76年)で遊びたかったのかもしれない。職業だけでなく、カット割りやセリフ、観客に喋りかける演出等、「タクシードライバー」を連想させる要素が散りばめられている。オマージュというよりパロディに見えてしまうのは、対象が偉大過ぎるからか。

 父子共に作家志望であるという設定は、似た者親子以上の面白味を感じさせないものの、フラッシュバックで描かれる母役のジュリアン・ムーアをめぐる顛末は少々興味を惹かれた。父子関係よりも描き甲斐があるように思えたのは、気のせいか。





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