ポンペイ

ポンペイ “Pompeii”

監督:ポール・W・S・アンダーソン

出演:キット・ハリントン、エミリー・ブラウニング、キャリー=アン・モス、
   アドウェール・アキノエ=アグバエ、ジェシカ・ルーカス、
   ジャレッド・ハリス、キーファー・サザーランド

評価:★★




 火山噴火版「タイタニック」(97年)と言われても仕方のない構成を採っている『ポンペイ』は、同時に近年ちょっとしたブームになっている「筋肉男たちの肉弾戦」を意識した映画だ。奴隷であり剣闘士でもある主人公を考えれば、「グラディエーター」(00年)の影響と見るべきなのかもしれないけれど、戦闘シーンの迫力不足を考えると、同列に並べるのは恥ずかしい。

 なぜ迫力が感じられないのか、理由は一目瞭然。描写が生温いのだ。身も蓋もない言い方をするなら、主人公は殺し合いをする。奴隷として育てられた男が、襲い来る輩を次々血祭りに上げる。それにも関わらず、この映画、全然血が流れない。見せない工夫を選んでいるのではない。腫れ物に触るように戦闘シーンを撮っている。これはもう、レイティングを念頭に置いたがゆえだろう。R指定になることを恐れて、できる限りソフトな映像を心掛けた。けれど、その結果、ダイナミズムは完全に奪われた。主人公の戦友(アドウェール・アキノエ=アグバエが好演)の最後の戦いだけが痛みを感じさせるアクションだ。

 そうした戦いが長々と描かれる。何と驚くべきことに、幻の都市ポンペイをヴェスヴィオ火山の噴火が襲うのは、ラスト30分に入ってからだ。身分違いの恋が災害により引き裂かれそうになるという、ホント「タイタニック」そのまんまな要素をチープに描きながら、VFX満載のパニック映像が次から次へ。噴火の予兆を見せる場面は僅かで、大きな地震の後に突然火山の噴火が始まる。人々は逃げ惑うしかない。

 このパニック映像が、予想通りと言うべきか、ゲーム画面を見せられているように薄っぺらだ。血の匂いどころか泥の匂いすらしない街に火山灰が降り注ぎ、落ちてくる岩石が建物を木っ端微塵に吹っ飛ばす。当然主人公カップルの恋模様は浮きに浮く。

 浮くだけならまだしも、キット・ハリントンとエミリー・ブラウニングのカップルからパッションがちっとも感じられない。どれだけ髭を生やしてワイルドを気取ってもベビーフェイスが隠せないハリントンとウーパールーパー系の顔立ちになったブラウニングが、プラトニックな関係を貫く。ふたりだけになっても身体を重ねないとは、健康な若いモンがそれで良いのか。もっと本能丸出しで行かんかい。そもそもこのふたり、一緒の場面がとても少ない。戦いと恋愛が巧く融合できなかった証拠だ。

 ラストショットには呆れた。近年稀に見るマヌケなラストショットではないか。作り手がこれを美しい最後だと考えていることは明白で、何ともまあ、ロマンティストであることよ。ママゴトを本物だと勘違いできる、図太い神経のロマンティストであることは言うまでもない。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

blogram投票ボタン
blogram投票ボタン
人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ