トカレフ

トカレフ “Tokarev”

監督:パコ・カベサス

出演:ニコラス・ケイジ、レイチェル・ニコルズ、ダニー・グローヴァー、
   ピーター・ストーメア、マイケル・マグレイディ、マックス・ライアン、
   パシャ・リチニコフ、オーブリー・ピープルズ

評価:★★




 思いがけない大ヒット映画が出ると、それにあやかった亜流作品が出るのは常だけれど、フランス映画「96時間」(08年)からは未だに続々イミテーションが登場する。ズバリ、オヤジ暴走映画だ。普段は温厚なオヤジが娘のピンチに本当の姿を解禁、大暴走を繰り広げる。山より高く海より深い娘を想う父の気持ちが燃料になる。俺も娘のためなら同じようにやったるぜ!全世界のオヤジたちの鼻息が荒い。

 けれど、少しずつ設定を変えただけの内容ではオリジナリティが出るはずもなく、『トカレフ』も「96時間」な展開をベースに置いた類似クライム・スリラーに終わっている。復讐や暴力といった問題を考察するフリをしているものの、もちろんそれが目玉にはない。オヤジ暴走映画の見せ場はやはり、オヤジの暴走なのだ。

 ただ、「96時間」が面白かったのは、オヤジを演じたのがリーアム・ニーソンだったからという点を忘れてはいけない。アクション映画への出演はあったものの、基本はインテリジェントなイメージの強い文科系のニーソンが、突如アクションスターとしての輝き始める。そのギャップが面白かったのだ。手当たり次第にB級アクション映画に出ているニコラス・ケイジが暴走オヤジを演じても、新味は出ない。

 とは言え、ケイジは大張り切りだ。最初こそ仲間たちに「仕事」をやらせて抑え気味だったものの、一度導火線に点火してからは暴走が止まらない。銃も扱うものの、基本はナイフを武器にしているというのが、痛い。子どもでも容赦なく脅し、裏社会のボスを目の前にしても動じない。殺人も厭わず、「死ぬな」と言いながら暴力を続ける件など、ハイテンションなケイジが悪魔の化身に見えてくる。あらら、この暴走オヤジ、もう止まりそうにないよ。エスカレートし続ける暴力に、もはや同情心を抱くのは不可能だ。アンタも罰を受けるが良い。

 ただし、ケイジの佇まいは相変わらずマヌケだ(褒めている)。やたら横顔ショットが多いのが特徴的で、ケイジの受け口が過剰に印象に残る。どれだけ気取ってもこの受け口のマヌケさが全てを破壊する。受け口だからではない。ケイジの受け口だから、だ。

 それにしてもこの後味の悪さは良いのだろうか。因果応報を映像化したような展開が用意され、それまでの暴力は何だったんだと嘆かずにはいられないところに堕ちていく。彼の周囲の人物たちが、はっきりと気の毒。狙い通りと解釈もできようけれど、オヤジ暴走映画でそれをやられても…とため息をつくしかない。





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