オースティンランド 恋するテーマパーク

オースティンランド 恋するテーマパーク “Austenland”

監督:ジェルーシャ・ヘス

出演:ケリー・ラッセル、JJ・フィールド、ブレッド・マッケンジー、
   ジェームズ・キャリス、ジョージア・キング、ルパート・ヴァンジッタート、
   リッキー・ウィトル、ジェーン・シーモア

評価:★★




 何度も言っているけれど、ケリー・ラッセルの静かで押しつけがましくない演技はダイアン・レインのそれに似ている。この手の俳優はどんなジャンルにも溶け込むもので、ロマンティック・コメディも悪くない。どれだけドタバタに走ってもやり過ぎないので、適度な現実感が保持され、気持ち良くヒロインに肩入れできるのだ。ここでのラッセルもメグ・ライアンやキャメロン・ディアスが演じたらきゃんきゃん煩くなりそうなところを、軽やかに魅せる。老け方が自然なのも、レイン的と言えるかもしれない。

 英国の作家ジェーン・オースティンは本当に人気があるようで、彼女の小説の映画化はもちろんのこと、モチーフとして用いた関連映画も次々登場している。『オースティンランド 恋するテーマパーク』ではオースティン好きの30代アメリカ女が、英国にあるオースティンのテーマパークで恋を繰り広げる。…その割にはオースティンや作品への愛情はほとんど感じられないけれど…。

 このテーマパークはオースティンの小説世界を再現したもので、客もその世界の住人として一定期間暮らすことになるのが売り。緑豊かな景観。咲き乱れる花々。充実した邸。品のある家具や食器。相応しい絵画。従業員と客は美しい衣装に身を包み、とりわけ女たちは髪を複雑に結い上げて、我こそがヒロインとばかりに、その空間で生きる。設定自体はなるほど、オースティン好きには堪らないのかもしれない。

 ところがこの映画、そういう空間を揶揄する場面がひとつやふたつではない。支払った料金毎にあからさまに待遇が変わるのを皮切りに、客の素性を勝手に調べるわ、辛辣で心無い言葉を次々投げ掛けるわ…客を客扱いしないところばかりが目につく。ゴージャスな幻想の裏側はこんなものだとからかうのは良いけれど、度が過ぎると、性格が悪いだけにしか見えない。赤字確実の運営なのに、威張るな威張るな。

 尤も、ヒロインはテーマパークの裏の顔に早々に気づき、冷静に行動する(結局騙されるけれど)。おかげで人間関係は全く混乱しない。オースティン作品の中でも「高慢と偏見」が大きく取り上げられていて、映画における登場人物の立ち位置が非常に明確。ヒロインが誰と結ばれるのかも一瞬にして分かる。ここはもう一捻り、二捻りしても良かったのではないか。現実と幻想の狭間に潜む狂気を掬い上げても面白かっただろう。単純過ぎて「高慢と偏見」的というより「ブリジット・ジョーンズの日記」(01年)的に見える。

 それにしてもヒロインの造形はこれで良いのだろうか。オースティンの熱狂的ファンという設定で、その部屋にはグッズが溢れ返り、Mr. ダーシーの等身大パネルがあり、スケッチブックは下手くそな落書きだらけで、時折勝手に別世界へとトリップする癖がある。当然のように男に振られる。全財産を叩いて海の向こうのオースティンランドへ行くという痛さが…何だかオースティン好きに失礼なようなそうでないような。もう少しファンを気遣わないと怖いことになるのではないか…なんて余計な心配までチラリ。





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