おとなの恋には嘘がある

おとなの恋には嘘がある “Enough Said”

監督:ニコール・ホロフセナー

出演:ジュリア・ルイス=ドレイファス、ジェームズ・ガンドルフィーニ、
   キャサリン・キーナー、トニ・コレット、ベン・ファルコーン、
   イヴ・ヒューソン、トレイシー・フェアラウェイ、ダヴィ・ケヴィンソン

評価:★★★




 ジェームズ・ガンドルフィーニと言ったら「ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィア」(99~07年)のイメージが強い。巨体で悪人顔。けれど彼は器用な役者で、役柄次第でデフォルトの強面を優しくも頼りなくも見せられる。『おとなの恋には嘘がある』ではどこにでもいそうな離婚男役だ。一見怖そうでも、所作が大雑把でも、その繊細さは隠せない。

 そんなわけで彼は恋愛相手の女性に、陰でこんなことを言われる。「ハンサムじゃないから最初は惹かれなかったけれど、今はセクシーだと思うわ」。これを納得させてしまうのがガンドルフィーニで、彼とナイスカップルなのが決して万人受けする美人ではないジュリア・ルイス=ドレイファスというのが嬉しいところだ。ルイス=ドレイファスは「となりのサインフェルド」(89~98年)で有名。そう、この映画、テレビ界の二大スター(と言うとやや語弊があるか)の共演が、ニコール・ホロフセナーの監督・脚本という点と共にポイントだ。

 初めてのデート場面が良い。わいわいがやがや煩いレストラン。BGMが大きめで、相手の声がよく聞こえない。そこで交わされるウィットに富んだセリフの応酬はホロフセナーならではの軽妙さ。(下ネタもさらりと処理される)。会計前、女がBGMの大きさをジョークにしながら今日は楽しかったと礼を言うと、男が声がよく聞こえないから楽しかったんだと返すあたり、なるほど大人の会話劇だ。

 ここにマッサージ・セラピストであるルイス=ドレイファスの新顧客がガンドルフィーニの元妻だったという、コントのような設定が投入される。これがチープに映らないのは、それに踊らされて慌てふためくルイス=ドレイファスの心象の底に、人間らしい弱さが忍ばされているからに他ならない。それを人は「臆病」と形容する。

 ルイス=ドレイファスも10年前に離婚している。若くはない。顔はシワが目立つし、皮膚も垂れてきた。今更恋をしてもまた失敗するかもしれない。そうなったときの傷は深く、極めて痛いだろう。それゆえに誠実な判断が下せない。彼女の行動を卑怯だと批判するのは簡単だけれど、だけれどしかし、その弱さこそ、迷いこそ人間らしさではないかという気がする。だから彼女を嫌いになれない。進学でいなくなる娘との関係も見事なくすぐりだ。

 ルイス=ドレイファス以外のキャラクターも皆、臆病に見えてくる。迷いながら生きているのが伝わってくると言い換えても良い。人生の迷子だなんて書くと安っぽいものの、その切実さに嘘はない。そうするとガンドルフィーニの元妻キャサリン・キーナーのオシャレな家も違った風に見えてくるから面白い。





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