レイルウェイ 運命の旅路

レイルウェイ 運命の旅路 “The Railway Man”

監督:ジョナサン・テプリツキー

出演:コリン・ファース、ニコール・キッドマン、真田広之、
   ステラン・スカルスガルド、ジェレミー・アーヴァイン、
   サム・リード、石田淡朗

評価:★★




 オープニングを飾るのはコリン・ファースとニコール・キッドマンの旅先での出会いだ。列車の中で顔を合わせたふたりが素っ気ない会話を出発点にして、急速にその距離を縮めていく。一度は別れながら互いを忘れられず、男が意を決して彼女に会いに行く。速攻で自宅に招き、手料理を振る舞い、浜辺でデート。気がつけば結婚している。ファースとキッドマンの組み合わせが新鮮なこともあり、なかなか楽しい。上等のロマンティック・コメディみたい。

 …が、結婚後事態は急変する。ファースは突如奇怪な行動に走る。亡霊に寄り添ったり、夢遊病のごとく彷徨ったり、奇声を上げたり、他人に切りかかったり…彼は戦争でビルマとタイを結ぶ死の鉄道建設に駆り出され、そこで日本兵から拷問を受け、今もそのトラウマに苦しんでいるのだった。それこそが『レイルウェイ 運命の旅路』の胆だ。ありゃ、がっくり。

 がっくりもするだろう。焦点が全然合わないままに話が進むからだ。その後、ファースがかつて自分を苦しめた相手に会いに行くという過去と向き合うドラマがあり、実はそれこそがいちばん描きたいところだろうに、見せ方も展開も戦争がもたらす傷を描くというよりは、サスペンスの強調と英国の紳士性賛美が主役になっている。

 ファースがかつての敵である真田広之を問い詰める件は、リヴェンジ・スリラー風。背が高いファースに突如犯罪人風の迫力が宿り、肉体的にも精神的にも真田をじわじわと追い詰める。思わずB級スリラー「キリングゲーム(13年)を連想する。それにしてもどうして真田の役どころが「通訳」なのだろう。実話ベースゆえなのか。けれどそのピントのズレ方が理解し難い。

 ファースが戦時下で何をされたのかも描かれる。ファースの若き日に扮したジェレミー・アーヴァインがのび太風メガネ姿で成長著しい演技を見せるも、案外衝撃は薄い。もちろん非人間的行為を受けるのではあるけれど、予測の範囲内に綺麗に収まる。大体アーヴァインの前に仲間が同じ拷問を受けるところを見せられているのだ。何故が消えない。

 ファースの「赦し」場面は感動的というよりチープではないか。回想シーンでの英国兵の日本兵とは対極的な紳士風振る舞いにも首を傾げたけれど、それ以上にファースと真田の掛け合いから浮かぶ、英国の持ち上げ方が気持ち悪い。真田は言う。「あなたは耐え抜いた。命より大切なものはないと示してくれた」。

 要するにこの映画、エピソードとエピソードを繋ぐ部分に芸がないのだろう。だから物語の表情が不自然にころころ変わる。それゆえ落ち着かない。いちばん心に残るセリフがキッドマンによる「口ヒゲの男性にキスしたのは初めてよ」というのは、さすがに拙いだろう。





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