カワイイ私の作り方 全米バター細工選手権!

カワイイ私の作り方 全米バター細工選手権! “Butter”

監督:ジム・フィールド・スミス

出演:ジェニファー・ガーナー、ヤラ・シャヒディ、タイ・バーレル、
   オリヴィア・ワイルド、ロブ・コードリー、アシュリー・グリーン、
   アリシア・シルヴァーストーン、ヒュー・ジャックマン

評価:★★




 昨今は何でもかんでも「芸術」という言葉を振りかざして有難がる傾向があるけれど、『カワイイ私の作り方 全米バター細工選手権!』に出てくるバター彫刻は、完成品を見るとなるほど、感心せずにはいられない。さっぽろ雪まつりの雪像はもちろん芸術的だし、浜辺の砂のオブジェも、ニンジンやイモ、リンゴといった野菜や果物も芸術になる。バターも例外ではないのだ。

 ここに出てくるバター彫刻は、アイオワの田舎町でコンテストまで開かれる。最終的に誰が勝つのだろうかという興味は当然出てくるものの、それが主題になっていないことは明らかだ。たかがバター。されどバター。それに人生を賭ける者が出てきて、人間模様がどす黒く渦巻くことになる。これは強欲と脅迫、そしてセックスの物語だと宣言する。

 個性的なキャラクターが次々登場する。中心になるのは、引退した夫の代わりにコンテスト出場を決める野心家の主婦と里親の元を転々としながら生きる孤独な少女。彼らを囲むのは妻に頭が上がらない夫に浮気相手のストリッパー。良心を絵に描いたような夫婦に、昔の恋人に操られるバカ男。野次馬気分で感動したり冷めたりを繰り返す観客もいる。とりわけ女たちが濃い存在感だ。

 …にも関わらず、全体の味は薄い。それは多分、アメリカの病理を抉るように見せかけながら、皮肉の表面的なところを撫でるのに終始しているからだ。主婦を悪役として機能させ、勝利のためなら何でもするその姿を笑い飛ばす以上のものがないのだ。ライヴァルの少女は恵まれない境遇で、それを受け入れて、健気で、良い子で、実力も申し分なし。分かり易い構図が胡散臭い。

 ここは少女の側をもっとしたたかに描いても良かったのではないか。気持ち悪いくらいに好意的な人々に迎えられた彼女は、それを冷静に見つめる目と分析する頭を持っている。白人中流社会を見透かすような動きを見せる方が、主婦の暴走が映えたのではないか。魂云々の精神論的部分に持ち込むのは安易というものだろう。

 バター彫刻ができていくまでが丁寧に描写されないのも残念なところ。どんな場所が用意され、どんな条件が提示され、どんな道具を使い、どんな技を使い、どんな過程を経て完成に漕ぎ着けるのか、最もドラマを注ぎやすい部分が無視される。あくまで風刺劇であり、スポーツ映画とは違うということか。頭が固い。そう言えば、バターの匂いがてんで漂わない。

 ジェニファー・ガーナーは皮膚の薄い骸骨顔に神経質な笑顔を浮かべる好演だし、ヤラ・シャヒディは可愛らしい。けれど、やたら目立っているのはストリッパー役のオリヴィア・ワイルドだ。ストリッパースタイルが似合っているし、キツいメイクも良い。暴走ぶりも愉快だ。彼女のキャラクターを途中から傍観者にしてしまうのは惜しい。もっと話を広げられる役柄になったはずだ。





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