食べて、祈って、恋をして

食べて、祈って、恋をして “Eat Pray Love”

監督:ライアン・マーフィ

出演:ジュリア・ロバーツ、ハヴィエル・バルデム、ジェームズ・フランコ、
   ビリー・クラダップ、リチャード・ジェンキンス、ヴィオラ・デイヴィス

評価:★




 改めて思うのは、ジュリア・ロバーツは根っからのスター女優だということだ。スラリとしたスタイル、長身、口にポイントが置かれた顔の派手な作り(顔自体は小さい)、大袈裟な動き…全てがスター然としている。多少シワも目立ってきたけれど(唇もやけに腫れぼったいけれど)、40歳を超えても平均以上の美貌をキープ。これでいつもようにガハハハと大笑いしさえすれば、はい、これでジュリア・ロバーツの出来上がり。

 このスター性はしかし、『食べて、祈って、恋をして』ではあんまり有効に働いてはいない。何しろ画面が落ち着かない。ロバーツ扮するエリザベスは、イタリア、インド、バリ島(インドネシア)を1年かけて旅をする。必然的にその土地土地の生活様式や風景が強力な見どころになるのだけれど、思わず声を上げて笑ってしまうくらいに、それに溶け込んでいない。外国の風景の中にロバーツがいる…という違和感が常に付きまとい、物語に集中できないどころか、全然リラックスできないのだ。旅先で新しい自分を発見していくという役柄の設定上、好都合という気もするものの、それにしたって節度がある。少なくともクライマックスでは、外国の空気と一体化していてくれないと。そんなわけでロバーツがロバーツのまま魅力的に見えるのは、序盤のニューヨーク場面ということになる。物語上はどん底なんだけど。

 まあ、たとえロバーツ以外の女優が起用されたとしても成功したとは思えない話だ。何たってヒロインの思考が全然分からないのが辛い。そもそもいきなり離婚に踏み切る理由が曖昧だし、二番目の男との破局もわけが分からない。もっともらしい言い訳をしているけれど、結局この女は、思い込みが極端に激しく、自己愛が非常に強いだけなのだ。自分がいちばん大切で、そのためには他人を困らせてもワガママを通す。よくアクション映画で事件とは何の関係もない人々が巻き添えになって死んでいくけれど、ここに出てくる男たちはそれと同じようなものだ。死にはしないものの、主人公に勝手に振り回されて、いい迷惑。

 こういう女だ。旅先で築き上げる人間関係が浅いこと浅いこと。『食べて、祈って、恋をして』というタイトルがピッタリで、ヒロインは本当に食べて、祈って、恋をするしかしていない。ロバーツは楽しそうに笑っていて、それを眺める分には決して悪い気分にはならないものの、そうすることで見えてくる真理にはちっとも触れられない。美味しいものを食べて元気が出た。瞑想して自分が見えてきた。新しく恋をして完全復活だ!…以外に何がある。自分探しの旅にしても、(大抵はこんなものだと承知しつつ)呑気でおめでたい。

 演出も大雑把そのもの。動き過ぎるカメラワークがくどいし、分かりやすくてやたら大音量の音楽が煩いし、何より風景の魅力で画をモタせようとするのが安っぽい。ライアン・マーフィは「ハサミを持って突っ走る」(06年)でも人間の描き方に不誠実さが見えた監督だ。人間の常識的な部分をもっと大切にした作りを目指した方が良いのではないか。





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