セインツ 約束の果て

セインツ 約束の果て “Ain't Them Bodies Saints”

監督:デヴィッド・ローリー

出演:ケイシー・アフレック、ルーニー・マーラ、ベン・フォスター、
   ネイト・パーカー、ラミ・マレック、キース・キャラダイン、
   ロバート・ロングストリート、チャールズ・ベイカー

評価:★★★




 パッと見た感じ、テレンス・マリック映画を連想するのはひとりやふたりではないだろう。光と影を丁寧に切り取った撮影。風や草木を始めとする自然の音。絶え間なく流れる音楽。画面いっぱいに広がるのは詩情であり叙情性だけれどやはりこれは、似て非なるものだ。

 『セインツ 約束の果て』でデヴィッド・ローリーは、物語を伝えることを第一に考えて演出しているように思われる。強盗で捕まった男が妻とまだ見ぬ娘に会うために脱獄するという、極めてシンプルな筋立てを繊細に扱う。男と女の間に流れるものを一瞬も見逃すまいと目を大きく開き、隅々まで動かし、その揺れを凝視する。人はそれを愛と呼ぶ。

 どことなく「幸福の黄色いハンカチ」(77年)を思わせる展開に寓話性が感じられるのが面白い。いや神話性と言った方が良いか。ふたつの魂とそれを見守るもうひとつの魂が、とても崇高なものに見える。今の時代が忘れてしまった無垢の匂い。テキサスという舞台設定もあり、西部劇を思わせるところがあるのも良い味だ。

 ローリーはそれを実現するために映像美を追求にしたに過ぎないのだろう。省略の巧さや編集の鮮やかさはマリックよりも、むしろスティーヴン・スピルバーグを思わせる。強引だろうか。終幕にある、心臓音のような音楽と連動したアクションなど、実に手際が良い。

 主人公ふたりはとてもお似合いで、だからより切ない。オープニングでふたりは言い争いをしている。女は本気で怒っているようなのに、男のペースについついハマり、いつの間にかいちゃこきに。そして女は言うのだ。お腹に赤ん坊がいると。嬉しそうな表情を浮かべる男。ふたりを一発で好きになる。

 配役が素晴らしく、ケイシー・アフレックの飄々とした佇まいもルーニー・マーラの儚げで、でも芯の通ったそれも良い。マーラは特に綺麗に通った鼻筋と共に、眉毛の主張が目に残る。リリー・コリンズほどに煩くないものの、何かを語る眉だ。少女だった頃のジェニファー・コネリーに通じるものがあるかもしれない。

 マーラに想いを寄せる保安官役のベン・フォスターも印象的だ。決して甘い言葉をかけることなく、静かに彼女を見つめ続ける。あと一歩でストーカーになりそうな気配を封じ込め、その純情を浮上させる。それでも決してアフレックとマーラの間に流れるものへは届かない。そしてそれがまた、美しく、切ないのだ。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

blogram投票ボタン
blogram投票ボタン
人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ