ランナウェイ・ブルース

ランナウェイ・ブルース “The Motel Life”

監督:アラン・ポルスキー、ガブリエル・ポルスキー

出演:エミール・ハーシュ、スティーヴン・ドーフ、ダコタ・ファニング、
   クリス・クリストファーソン、デイトン・キャリー、ジョシュア・レナード、
   ギャレット・バックストローム、アンドリュー・リー

評価:★★




 『ランナウェイ・ブルース』の主人公兄弟の父親は蒸発し、母親は病気で早くに亡くなる。しかも兄は片足を負傷、膝下がなく、弟に頼った生活だ。それでもふたりは幼いころから手と手を取り合い、田舎町で寄り添うように生きている。…という設定に反射的に警戒心が働く。これはもじもじいじいじを繊細だと言い包める映画なのではないか。

 果たして、不安は的中する。兄が交通事故を起こし、ぶつかった少年が死ぬ。兄は警察に行くことなく、弟を難題に巻き込む。けれどこれは避けられない悲劇だった。兄は運が悪かった。兄は心から悔いている。…と都合良く解釈。そうして始まる逃避行が身勝手さを完全に忘れた、ガラスのハートの切なくもどこか温かい物語に化けるのだ。細やかに見せかけてなかなか図太い。わざわざ少年の遺族に贈り物を届ける件など、あざといとも言える。

 とりわけスティーヴン・ドーフ演じる兄にはイライラが募る。役作りなのだろうか、すっかり頬がこけ、顔は縦じわだらけ、その上いつも泣き顔だ。自分を責めながら、しかし救われたいという意識が過剰で、いつの間にか被害者気取り。エミール・ハーシュ演じる弟を言いように使っているだけに見える。

 救いはある。ハーシュが良い。相変わらず悩める青春を体現するのが上手いハーシュ。兄を想う気持ちが嘘臭くない。瞳の中に浮かぶ涙が透明で、不純物の混じり気を感じさせない。どん詰まりの中でもがく様が胸に沁みる。

 美しい場面もある。ハーシュとダコタ・ファニングが暖炉の前で毛布に包まる場面。親代わりのクリス・クリストファーソンがハーシュに「自分をクズだと決めつけるな」と諭す場面。ハーシュとファニングが町中で手を繋ぐ場面。新雪が積もる中に止まった車の中でドーフとハーシュが語り合う場面。いずれも理屈どうこうではなく、目に残る。淋しく凍えるような町の佇まいも良い。

 兄の描いた絵を基に弟が空想するのをアニメーションで見せる演出は、辛気臭い展開の中でホッとするところ。わら半紙や段ボールに描かれた絵だけでも味のあるタッチだけれど、動きがつくと、なおロマンティックだ。特に女装好きの家族が出てくるエピソードが気に入った。





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