ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金

ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金 “Pain & Gain”

監督:マイケル・ベイ

出演:マーク・ウォルバーグ、ドウェイン・ジョンソン、アンソニー・マッキー、
   トニー・シャルーブ、エド・ハリス、ロブ・コードリー、バール・パリー、
   レベル・ウィルソン、ケン・チョン、マイケル・リスポリ、
   キーリー・レフコヴィッツ、エミリー・ラザフォード、ラリー・ハンキン、
   トニー・プラナ、ピーター・ストーメア、ウラジミール・クリチコ

評価:★★




 主人公は自分で言うほどの筋トレマニアだ。これまでの人生の全てを筋トレに捧げてきたような男で、なるほど説得力のある身体をしている。マーク・ウォルバーグが肉体改造に踏み切り、その二の腕がそこいらの女の子のウエストよりも確実に太い。ウォルバーグの仲間となるドウェイン・ジョンソンもアンソニー・マッキーも身体を鍛え上げての参加。「どうだ、俺たちの身体を見てくれ」的な迫力に圧倒される。鏡に全身を映し、自分を奮い立たせる言葉を唱え、鼻の穴をおっ広げて汗を流す。俺はカッコイイ。

 マッチョスターの需要が途切れなかったり、ヒーロー映画の主人公の筋骨隆々ぶりが讃えられたりするのを見ると、アメリカにおけるマッチョ幻想が根強いことを痛感させられる。マイケル・ベイはそれを笑い飛ばしたかったのだろうか。『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』のマッチョたちは、揃いも揃ってバカなのだ。マッチョに対する恨みでもあるのかと聞きたくなるぐらいバカなのだ。いや、でも確かにやり過ぎマッチョってバカに見える。もちろん偏見だ。

 主人公のバカさ加減がバレるのは早い。ヘンテコ東洋人による自己啓発セミナーでまんまと感化され、「俺はできる。俺はやれる」と大張り切り。何ができるのか、何をやるのかを考えていないのがそもそものバカなのだけど、結論が金持ちを誘拐して大金をせしめる犯罪というのが、輪をかけてバカだ。

 もちろん犯罪計画もバカだ。と言うより、計画になっていない。行き当たりばったりである点を機転が利くと勘違いして、勢いだけで突っ走る。自らを賢いと思い込み、嘘を並べて気取り、スタンガンで武装し、何かと言うと神の存在を近くに感じる。チャンスの国、アメリカでは「やる奴」と「やらない奴」がいる。そして俺たちは「やる奴」だ。

 ここにアメリカン・ドリームの闇のようなものを忍ばせるところが、ベイ映画らしからぬところだ。正攻法であれ邪道であれ、その燃料となるものは欲望であり、それをコントロールできない者にはそれに弄ばれる。バカはバカのまま堕ちていく。大金をせしめる。イイオンナを抱く。豪邸に住む。高級車を乗り回す。けれど、主人公がそれを手にした後にやることは、結局これまでと変わらない。筋トレであり、コカインであり、インポテンツ治療なのだ。この翳りは悪くない。窮地になっても、主人公が筋トレに励む姿が哀れを誘う。

 アクション場面もいつものベイ映画とは違う感触だ。現実感が大切にされ、残酷さが無視されていない。ここはいつものように脳天気に処理しても良かった。話が真面目な分、空気がどんよりしている。せめてアクション場面は軽快に進めて、風通しを良くするべきだ。

 遂に逮捕された主人公が、大量に押し掛けた報道陣を眺めて笑みを浮かべる画が良い。世間から注目を集めることは、それもまたアメリカン・ドリームではないか。誰にも知られることなく生きるよりよっぽど良い。怖ろしい思考だけれど、鋭い考察でもあるだろう。「誘う女」(95年)のニコール・キッドマンを思い出したくらいだ。





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