ローン・サバイバー

ローン・サバイバー “Lone Survivor”

監督:ピーター・バーグ

出演:マーク・ウォルバーグ、テイラー・キッチュ、エミール・ハーシュ、
   ベン・フォスター、エリック・バナ、アレクサンダー・ルドウィグ、
   アリ・スリマン、ジェリー・フェレーラ

評価:★★★





 「俺たちの心には嵐がある」と独白するひとりのアメリカ兵が経験した、過酷で、絶望的で、不快な戦い。アフガニスタンの山岳地帯でネイヴィー・シールズの4人が200人以上のタリバン兵に囲まれる非常事態を描いた『ローン・サバイバー』は、一見愛国主義を強調したプロパガンダ映画だ。何しろ実際のネイヴィー・シールズの訓練場面から始まり、その志高き佇まいを丁寧に切り取るのだ。

 4人の兵士は結局、ひとりしか生還できない。つまり3人が死ぬことになるのだけれど、その場面に代表されるように、やや映画的装飾が激しいところがある。突然のスローモーションや目の動きの切り取り方、身体が崩れていくのを後ろからドラマティックに映し出す件。あぁ、映画だと思う。

 加えて浮上するテーマが分かりやすい。アメリカ=善、タリバン=悪となるのは仕方ないにしても、そうした戦いの構図の中に、仲間を決して見捨てない強さと優しさ、仲間のために自らを犠牲にする尊い心を織り込んでいくあたりは、さすがに気恥ずかしさを感じる。ネイヴィー・シールズはこんなに頑張っている。心も美しい。さあ、彼らに心からの敬意を!…なんて声が聞こえてくる。結末の流れには「鶴の恩返し」を思い出したりして…。

 ところが、だ。映像がそういう際どい愛国心を吹き飛ばしてしまうのだ。とにかく印象的なのは、兵士たちが高所から転げ落ちていくショットだ。山の頂上を目指して逃げる兵士たちは、山に慣れたタリバン兵たちにアッという間に追いつかれ、逃げ延びるために自ら身体を崖から投げ捨てる。当然痛い。

 そう、この映画は痛い。銃弾に撃たれるのももちろん痛いものの、身体が岩や木々に打ちつけられていくのが痛い。傷だらけになっていく過程が大変生々しく、これが戦場というものなんだ、戦うということなんだという現実が、痛みを伴って浮上する。

 迫力あるメイキャッップは讃えられるべきだ。けれど、より効果的だったのは音の切り取り方ではないか。山岳地帯ならではの静けさをベースに、銃弾の音が乾いたままに響き渡る。反響音も恐怖を増大させ、風や木々の軋みが絡みつく。兵士たちの息遣いが苦しい。

 気がつけば、現実の迫力が映画的装飾を呑み込んでいる。物語やセリフよりも映像が映画の言わんとするところを伝える。粗が目立つも、これこそ映画ならではの表現という気もする。





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