ハリケーンアワー

ハリケーンアワー “Hours”

監督:エリック・ハイセラー

出演:ポール・ウォーカー、ジェネシス・ロドリゲス、ナンシー・ネイヴ、
   ジェーン・ジェイコブソン、ナタリア・サフラン、TJ・ハッサン、
   レナ・クラーク、ケシャ・バラード

評価:★★★




 ポール・ウォーカーが主演で、ハリケーン“カトリーナ”に襲われるニューオーリンズが舞台。…となると、どうしてもB級犯罪スリラーを想像してしまうのだけど、どっこい『ハリケーンアワー』は命というものに真摯に向き合った映画だ。俳優の私生活と映画の内容を安易に結びつけるのは気が進まないものの、事故死したウォーカーが死ぬ直前にこういう映画を遺したというのは、なんだか宿命めいている。

 カトリーナの直撃を受けようというそのとき、大きくはない病院にひとりの妊婦が担ぎ込まれる。赤ん坊は無事生まれるものの、母親は死亡。5週間早く生まれた赤ん坊は生命維持の保育器に繋がれる。カトリーナにより町の機能が麻痺する中、無責任と言うかご都合主義と言うか、父であるウォーカーと赤ん坊だけが病院に取り残されるという状況となる。父親は赤ん坊を守ることができるだろうか。

 極めて単純なサスペンスが設置される。保育器のバッテリーが3分間しか持たず、ウォーカーは3分毎にバッテリーを手動で充電しなければならない。つまり食料の調達も救助の呼びかけも栄養素の捜索も3分間でやらなければならない。ウルトラマン式ピンチの連続で、簡単な歯磨きぐらいしかできない3分という時間はさすがに短過ぎるだろう。あまりにすぐ時間が過ぎるので、ちょっとしたコント風に見えるのは損だ。

 とは言え、ウォーカーが赤ん坊を見つめる眼差しには温かいものがあり、それを眺められるのは悪くない。妻の亡骸に向かって「赤ん坊よりも君が必要だ」と声をかける男が、父性を目覚めさせ、何が何でも俺が守ると必死の奮闘を見せる様。理屈ではない愛情をウォーカーが感じさせる。

 ウォーカーの代表作は「ワイルド・スピード」(01年)ということになるのだろうけれど、大作よりも似つかわしいのは、こういう小さなスケールのB級映画だ。肩の力を抜いて無理することなく物語に溶け込む。エモーショナルな場面でも気張ることがない。おむつを替えたり、赤ん坊に延々話しかけたり、迷い込んだ救助犬と遊んだり、あぁ、素のウォーカーはこんな感じなのだろうなぁと思う場面が多い。

 終幕には案の定、混乱に乗じた強盗の侵入がある。しかも、ヤツらは自分さえ良ければ良いという輩で、ウォーカーと赤ん坊は命の危険に晒される。当然ウォーカーは抵抗を試みる。この流れはいまいちしっくり来ない。それまでの現実感ある父親の孤軍奮闘が、アッという間に犯罪スリラーの趣となる。銃撃戦でも始まるのではないかと無駄な緊張が走る。ここまで粘ったのだから、最後まで父親と赤ん坊のドラマで押すべきだった。

 結末は最初から読めていて、二日以上が経過してようやく救助隊がやってくる。このときふたりが助かったことを告げるのが、赤ん坊の泣き声というのが良い。赤ん坊はまだ、自分では泣けなかったのだ。ウォーカーと赤ん坊が光に包まれるラストショットには、ふたりの命を讃える祈りのようなものが感じられる。





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