ゾンビランド

ゾンビランド “Zombieland”

監督:ルーベン・フライシャー

出演:ウッディ・ハレルソン、ジェシー・アイゼンバーグ、エマ・ストーン、
   アビゲイル・ブレスリン、アンバー・ハード、ビル・マーレイ

評価:★★★




 蘇った死者が溢れかえり、マトモな生存者は極僅かなアメリカ合衆国が舞台。普通にジャンル分けするなら、ゾンビ映画なのだろう。実際、全くタイプの違うジェシー・アイゼンバーグとウッディ・ハレルソンによる奇妙な旅は、バディ要素を具えたゾンビ映画そのもの。スーパーなんかに立て篭もることなく、ロックミュージックと共に豪快に車を乗り回す様は新鮮だけれど、結局のところゾンビを殺すことしかしていないあたり、うん、ゾンビ映画だ。でもちょっと待て。物語が進むに連れて、変種のコメディの匂いが濃厚になってくることに気づくだろう。と言うか、ゾンビ要素、ホラー要素はどんどん薄れていき、どこから切っても喜劇の様相を呈してくる。

 触媒になったのは、エマ・ストーンとアビゲイル・ブレスリンの姉妹だ。ふたりが登場することにより、話が別の角度から輝き始める。男二人、女二人の四角関係のバランスのとり方がとても面白い。基本は男が女に振り回される構図になっているのだけれど、それだけに終わらない微妙なニュアンスを漂わせているのに注目だ。特にアイゼンバーグとストーン、ハレルソンとブレスリンの組み合わせに新味があり、クライマックスにはいよいよそれが素晴らしい効果を上げる。ちょっとしたヒューマンコメディの感触すら感じさせるのだ。本当のところ、もう少し恐怖の方にも力を入れて欲しい気もする。でも、それを補って余りある魅力が、確かにある。

 ギャグの入れ方が冴えている。アイゼンバーグは生き残るために30以上のルールを課していて、それを律儀に実践しているという設定。ゾンビとの戦いではこれが大いに意識されている。「有酸素運動で対抗する」「二度撃ちして油断しない」「シートベルを締める」「トイレに用心する」…とそんなんで生き残れるわけないだろーと突っ込みを入れずにはいられない頼りないそれが、実際の映像として提示されると、妙に可笑しい。中盤に出てくる「ヒーローにはなるな」というルールは、伏線としても非常に効果的だ。脚本がユーモラスなのだ。

 脚本と言えば、クライマックスに遊園地を持ってきたところが素晴らしい。ジェットコースター系の絶叫マシーン、メリーゴーランドのような微笑ましいアトラクション、お化け屋敷に代表されるレトロ趣味…工夫する余地がたっぷりある空間であり、それを目一杯活かしたゾンビとのバトルが繰り出される。ここでそれまで描かれてきた四人のバックグラウンドが急激にせり上がってくるのも周到と言える。

 映画ネタが散りばめられているのも映画ファンの心をくすぐる。中でもビル・マーレイが大々的に取り上げられているのに狂喜乱舞。マーレイも本当に楽しそうだし、それを眺める主役たちも嬉しそう。

 キャストも適材適所で、中でもハレルソンが弾けている。お馴染みの般若顔にカウボーイハットを乗せて、マシンガンを次々ぶっ放して、ゾンビを血祭りに上げる。単純明快なストレス解消的なパフォーマンスが愉快痛快。実はこの裏側にはある哀しみが潜んでいて、そちらの方も湿っぽくなり過ぎずにまとめ上げているのにも感心する。案外ドラマとコメディの按排が考えられた演技だ。

 そう、どす黒い血がグロテスクに飛び散る場面から始まる『ゾンビランド』は、単純なだけのゾンビ映画ではない。昨今量産されているゾンビ映画とは、斬り込み方がまるで違うのだ。ゾンビはまだ死んでいないと高らかに宣言しているかのようだ。





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