エージェント:ライアン

エージェント:ライアン “Jack Ryan: Shadow Recruit”

監督・出演:ケネス・ブラナー

出演:クリス・パイン、キーラ・ナイトレイ、ケヴィン・コスナー、
   ノンソー・アノジー、コルム・フィオール、ジェンマ・チャン、
   デヴィッド・ペイマー、カレン・デヴィッド、ペーター・アンデション

評価:★★




 トム・クランシーのベストセラー小説から飛び出したジャック・ライアンを演じるのは、クリス・パインで四人目になる。アレック・ボールドウィン、ハリソン・フォード、そしてベン・アフレック。一度か二度演じただけで、次のスターへとバトンタッチ。なぜそんな事態になってしまうのか。これはもう、ライアンという役柄の個性が薄いがゆえだろう。

 『エージェント:ライアン』はライアンがどんな人物なのか、大学時代から描き出す。白シャツの上にフード付きジャケットを羽織り、リュックサックを背負うどこにでもいる学生が、9.11のテロの影響を受けて、海兵隊入り。派遣先のアフガニスタンでヘリコプターを追撃され、仲間を助けた結果、背骨を折るほどの重傷を負う。病院で出会った看護師とは恋仲になる。スピーディに描写されるそれらが、ライアンの血とも肉ともならない。

 ジェームズ・ボンドなら女好きの凄腕。イーサン・ハントなら超人的身体能力とチームワーク。シャーロック・ホームズなら天才的推理力とジョン・ワトソン。ジョン・マクレーンなら悪運の強さと不死身の身体。人気シリーズの主役たちはいずれも個性が強く、彼らが出てくるだけで画面が持ってしまうところがある。ライアンはそれができない。敢えて売りを挙げるなら抜群の分析力になるということになるのだろうけれど、頭の良さはアクション映画のヒーローでは特別珍しいものではなく、むしろ平凡。頭の良さを理由にご都合主義を丸め込もうとする場合すらある。

 原作は未読なのでライアンがいかなる人物なのかは映画から知るしかない。まだCIAに入ったばかりの彼は今回、分析官からエージェントへの変換を余儀なくされる。しかし、当然のことながらその技術は未熟なわけで、資料を見て敵の思惑を悟るぐらいしかできない。素人なりのアクションを見せるしかないのだ。その割りにクライマックスは超人的という気もするけれど…。

 したがってライアンを演じるのが誰であったとしても、今のままでは成功し辛いはずだ。パインも含めたライアン役者の中では、ボールドウィンが最もハマっていた。当時のボールドウィンが安っぽくもスマートに演じていたことを思い出す。フォードはいきなりファミリーマンになり、アフレックは知性を感じさせない田舎の兄ちゃん風となって現れた。パインのライアンははひよっこ色が強い。今まででいちばん可愛らしいライアンだ。そして、それだけが今回のライアンの個性だ。

 主役の個性の希薄さは、そのままアクションの薄さに繋がり、それがさらに作品の無個性へと通じていく。仕方がない。どこかで見たような陰謀、どこかで見たようなアクション、どこかで見たようなサスペンス…。分析力はあっても経験に乏しいライアンが、今できることをする。金融市場の操作とテロという題材も力にならない。良く言えば、巻き込まれ型王道アクション。悪く言えば、既存映画の類似品。

 ライアンを補助する役柄を演じたスターふたりは悪くない。キーラ・ナイトレイはライアンの恋人に扮する。久しぶりのポップコーン映画で肩の力を抜いて愉しんでいる感じが良い。モスクワの会食場面でのシックなスタイルはスターの輝きが溢れる。ケヴィン・コスナーはライアンをスカウトする上司を演じる。自ら輝くのではなく、スターを立てることで跳ね返ってきた光により輝くという技を、ようやく体得したコスナー。なかなか渋い存在感だ。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ