17歳

17歳 “Jeune & jolie”

監督:フランソワ・オゾン

出演:マリーヌ・ヴァクト、ジェラルディーヌ・ペラス、フレデリック・ピエロ、
   シャーロット・ランプリング、ヨハン・レイゼン、ファンタン・ラヴァ、
   ナタリー・リシャール、ロラン・デルペック

評価:★★




 17歳の少女が、親子どころか祖父と孫ほどに歳の離れた男たちとベッドを共にする。…と書くと、酷くセンセーショナルな印象を受けるものの、フランソワ・オゾンの興味はスキャンダラスにそれを飾り立てるところにはない。『17歳』は、まだ自分が見えていない若い魂がパリの街を浮遊する様を、そっと覗き見る。

 彼女が娼婦に堕ちる理由は語られない。夏を家族と共に避暑地で過ごした後、秋には既に金と引き換えに男たちに身体を差し出している。敢えて理由を描き込まないゆえに想像が広がるものの、夏の場面で意味ありげなカットが挿入されていて、これが妙に後を引く。

 実は少女はある夏の夜、同じくらいの歳のドイツ人少年と浜辺で行為に及んでいる。これが初めての体験だ。そのときの彼女は快感を愉しむ余裕などない。少年の腰の動きを虚しく感じていただけだろう。その際、ふと横を見ると、誰かが自分を見ている。それは彼女自身だった。まるで自分の魂と肉体が切り離されてしまったような…。

 オゾンはと言うと、実はちゃっかり物語の中に潜り込んでいる。それも少女の弟として、だからなかなか図々しい。浜辺でトップレスで日光浴する姉を双眼鏡で眺める冒頭から、常に姉の近くで、その生態を観察している。ポーズがいちいち艶かしいのが可笑しい。おそらくゲイだろう。それを匂わせる場面も用意される。

 オゾンは若い魂の中に残酷さ、愚かさ、無関心さ、気まぐれさ、身勝手さ…等を次々浮上させる。少女が考えていることがまるで分からない。別の生き物みたいだ。でもそれが面白いところなのだろう。若い魂の彷徨に意味を求めることなど、無意味だと言っているような、空虚にして妖しい気配が漂う。

 オゾンが少女役に無名の新人を起用したのは当然だ。全く色のついていない肉体が求められるからだ。そうして選ばれたのがマリーヌ・ヴァクトなのだけど、評価に迷うところだ。ペネロペ・クルスをフランス人寄りにしたような顔立ちはともかく、身体が拒食症寸前ではないかと言いたくなる痩せ細ったもので、どうも官能だとかいやらしさだとかからは遠いところにある。聞けばヴァクトはモデル出身だという。腑に落ちる。現実離れしたモデル体型はエロスの敵だ。

 とは言え、時折ハッとする画はある。行為に入っているときの下から見上げたカットは、例外的にいやらしい。妖気も感じられる。それから、深刻なタッチの割りには妙に笑いを誘う場面が多いのは狙いなのだろうか。老人が心臓発作でぽっくり逝ってしまう件など、声が出そうになってしまった。





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