恋のときめき乱気流

恋のときめき乱気流 “Amour & turbulences”

監督:アレクサンドル・カスタネッティ

出演:リュディヴィーヌ・サニエ、ニコラ・ブドス、ジョナタン・コエン、
   アルノー・デュクレ、クレマンティーヌ・セラリエ

評価:★★★




 ひゃあぁぁ、可愛い。『恋のときめき乱気流』はその言葉を引き出せれば、作り手の勝利という映画だ。話自体は他愛ない。ニューヨークからパリへのフライト。ビジネスクラスで隣同士になった元恋人の男と女が、過去を振り返りながら情熱を再燃させる物語。出会いはタクシーの相乗りというよくあるパターン。夢や進路、女性問題が障壁となるのもお馴染み。アパートを訪ねてみたら、他の女がいたという矢口真里をお手本したエピソードまで出てくる。

 しかし、そんなことどうでも良い。ヒロインを演じるリュディヴィーヌ・サニエが近年ベストの愛らしさを発散するからだ。真っ白な肌。たっぷりのマスカラ。入念なアイメイク。凝ったヘアスタイル。着せ替え人形と化して洋服をとっ替えひっ替え。これだけ創り込んでいるのに、ちっともケバくならないのが偉い。

 飛行機に乗り込むときの白シャツの上にカーディガンを羽織るファッションが、サイフを忘れて愉快なサザエさんになる一歩手前の可愛さ。時折80年代テイストが入るのも楽しい。前衛芸術(彫刻)の創作に励む場面では、黄色い長靴まで履いちゃった。どうする?辛抱堪らん。

 演じる役柄の人物像も悪くない。優柔不断だと思ったら、時折別人のような大胆さを見せる。キュートな見た目そのままのようで、どこか人間らしさを失わない程度の謎を感じさせる。プレイボーイに惚れないようにと、自分の気持ちをコントロールしようとするあたりも、実に可愛らしい。

 だから最初、相手役のニコラ・ブドスに納得できなかった。田中要次をフランス人にしたようなブサイクで、ちょっとケイシー・アフレックとヒュー・グラントの要素も入ったデカい顔。下品を絵に描いたような振る舞いを連発し、女を次々物にするのもどうなんだ。…と思っていたのが、意外にお似合いに見てくるから不思議だ。女好きなのは不器用ゆえだと言い包め、気がつけば男の純情を浮上させるのだ。

 ふたりが機内で昔の恋を振り返りながら、隣に座る老人夫妻や小さな女の子、客室乗務員を聞き役にして恋のジャッジをさせるのも、王道とは言え可笑しい。とりわけサニエの隣のジイサンが笑わせる。電話シーンでの画面の分割や、「カーマ・スートラ」を使ったセックスの処理、意外に見かけないエッフェル塔内部でのデート場面等、脇腹をくすぐる技も多い。

 冒頭ヒロインがTo Doリストを付箋に書いて部屋中に貼る習慣が出てくる。この始まりを、失恋エピソードに持ってくるのには感心した。サニエ鑑賞が何よりも重要という他愛ない映画でも、ディテールには意地を感じる。正しくおフランス映画なのだ。





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