ミッドナイト・ガイズ

ミッドナイト・ガイズ “Stand Up Guys”

監督:フィッシャー・スティーヴンス

出演:アル・パチーノ、クリストファー・ウォーケン、アラン・アーキン、
   ジュリアナ・マルグリーズ、アディソン・ティムリン、ルーシー・パンチ、
   ルーク・マーゴリス、ヴァネッサ・フェルリト、キャサリン・ウィニック

評価:★★




 人生の黄昏時を迎えたジイサンたちを主人公にしたコメディとなると、どうしても「老い」をギャグとして機能させる作りになるらしい。若い頃はできたことやサマになったことと段々縁遠くなる。ジイサンたちが勃つ勃たないで言葉を交わし、薬局で高血圧や胃腸炎、緑内障の薬を調達。若い女をナンパして罵倒され、ドラッグが効き過ぎて気絶までしてしまう。

 これを寂しく思うのは多分、演者がアル・パチーノであり、クリストファー・ウォーケンであり、アラン・アーキンだからだろう。ハリウッドの荒波を頼もしく生き抜いてきた彼らが、あぁ、遂に自らの老いを認めることになったかと感じ入るのだ。そう言えば、なんだか身体が一回り小さくなったようにも見える。

 『ミッドナイト・ガイズ』は大御所たちを一緒の画面に入れることで満足する。まるで同窓会のノリで彼らを物語へと放り込み、その戯れる様を愛でることに価値を見出す。彼らの口から飛び出してくるのが、第一線だった頃の「思い出」ばかりなのが、それを象徴する。パチーノもウォーケンもアーキンも、昔馴染みとの再会こそが重要で、演技云々は二の次に見える。これは彼らの実力を知る者には、不幸な画だ。彼らに「オジイチャン良かったね」なんて声をかけたくない。

 黄昏時、彼らが遊ぶ先は娼婦館だ。レストランだ。ビリヤード・バーだ。やりたいのは女と寝ることであり、旨いものを食うことであり、気の置けない仲間と遊ぶことだ。困った境遇の女たちに手を差し伸べることも忘れない。どの角度から見ても、悪の匂いなどしないけれど、彼らは裏社会に生きる者だ。仲間のひとりを殺さねばならないという一応のストーリーが、宴会の余興程度の意味しかなしていないのは、どういうことか。喜劇仕立てが理由ではない。作り手の視界がぼやけている。甘ったるさをロマンと勘違いしている。

 そんなわけで役者が楽しそうなのが救いとも言えるけれど、パチーノにはやや動揺を覚える。役柄は人生を悟ったかのような振る舞いながら、お直しした目周りに力が入り過ぎているからだ。枯れ具合がポイントになるはずなのに、パチーノは見た目で現役宣言。ほとんど暑苦しいくらいの目力が、妙な不安を誘う。これ以上は弄らない方が良いだろう。

 真夜中、街頭の明かりに照らされてパチーノとウォーケンが歩く画は良い。とぼとぼとした足取りが雰囲気を出していて。この足取りをもっとじっくり見つめていたら、何か違うドラマが生まれたのではないか。夜から朝に向かう時間の中に、彼らならではの物語が浮上したのではないか。生と死の濃厚なせめぎ合いを見たかった。





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