スノーピアサー

スノーピアサー “Snowpiercer”

監督:ポン・ジュノ

出演:クリス・エヴァンス、ソン・ガンホ、ティルダ・スウィントン、
   ジェイミー・ベル、オクタヴィア・スペンサー、ユエン・ブレンナー、
   アリソン・ピル、コ・アソン、ジョン・ハート、エド・ハリス、
   ルーク・パスクァリーノ、ケニー・ドーティ、スティーヴン・パーク

評価:★★★




 物語よりも何よりも、舞台設定の奇抜さが目を引く。温暖化対策として撒かれた薬品が寒冷化を招き、生物のほとんどが絶滅した近未来の地球。生き残った人々は一年かけて地球を一周する列車の中で暮らしている。列車の中は貧富の差が激しく、後部車両に住む最下層の人々が、富裕層が快適に暮らす前部車両を目指す。

 どれだけ長い列車だよ。車幅が広過ぎるだろう。いつの間にレールを作ったんだ。たったこれだけで突っ込み所満載なのだけど、ポン・ジュノの語り口の巧さゆえか、非常に寛容な気分で見られる。やっぱり車両毎に表情が変わるのが新鮮だ。最後部車両こそ灰色のスラム街を思わせるものの、他はカラフルでシュールな世界観が炸裂。庭園あり、水族館あり、サウナあり、寿司バーあり、学校あり、美容院あり、クラブあり、歯医者あり、肉屋あり…。

 ここで繰り広げられるアクションは、必然的に横移動が多くなる。上は閊えているから、横に動くしかない。アクションが限定されるのではないかという不安が過るものの、そこは手慣れたもので、巨大な筒状の重しでドアを突き破るファーストアクションから快調に処理される。ひたすら前に向かうというのがポイントで、列車の進行と同じ方向に向かって突っ切っていく感じが気持ち良い。スローモーションや暗視映像、ユニークなアングル。U字箇所を利用した銃撃。残酷な描写を見せないで想像させる工夫がされるのもよろし。松明を聖火のように画には大いに笑う。正しくヴィジュアル派だ。

 最下層の起こす行動は言わば、革命と呼ばれるものだ。現体制を良しとしない者たちが集まり、正義と理想を目指して、勝負を賭ける。そこには強い信念がある。厳しい決断がある。犠牲がある。けれど、遂に対面した独裁体制の頂点に立つ者から明かされる真実が、物の見方を揺るがせる。

 列車そのものがメタファーになっている。列車の壁は、最下層の者たちにとって牢屋と同じだ。しかし、その壁こそが一瞬にして何もかもを凍らせてしまう寒さから守ってくれてもいる。この斬り込みこそ、ポン・ジュノだ。

 革命のリーダーと革命の鍵を握るセキュリティのプロのの対比も、さり気なく意味のあるものだ。リーダーがひたすら前を目指す一方、セキュリティのプロは外の世界を目指す。その違いに理想郷の難しさを見る。前述の独裁体制の全容も含め、次第に哲学的な匂いが漂い始める。ただし、ラストカットはほとんどギャグ。

 キャスティングも面白いけれど、列車のNo.2的存在を演じるティルダ・スウィントンが圧倒的なインパクトで、ほとんど一人勝ち状態だ。大きな瓶底メガネと出っ歯。内巻きのミディアムショート。いつものスウィントンの面影は全くなく、それどころか久本雅美にしか見えないのだ。もちろんいつもとは別人の自分を、スウィントンは余裕たっぷりに楽しんでいる。





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