マリー、もうひとつの人生

マリー、もうひとつの人生 “La vie d'une autre”

監督:シルヴィー・テステュー

出演:ジュリエット・ビノシュ、マチュー・カソヴィッツ、オーレ・アッティカ、
   フランソワ・ベルレアン、ダニエル・ルブラン、ヴァーノン・ドブチェフ

評価:★★




 オープニングから困惑する。ジュリエット・ビノシュが妙に若作りをしているのだ。それもそのはずビノシュは26歳という設定。20代に見せるのなんてちょろいわよとばかりに、ロングヘアにウェイヴをかけるだけじゃなく、花柄のシャツにジーンズを合わせてしまった。この図々しさはいかにもビノシュだけれど、やっぱり呟かずにはいられない。一体全体どうなってるんだ?

 ただし、若作りビノシュに耐えなければならないのは冒頭だけだ。『マリー、もう一つの人生』のヒロインは誕生日パーティで前から目をつけていた男を寝技に持ち込む。あぁ、なんて素敵な誕生日!ところが目が覚めると、その日から15年も経っていた。私、41歳のオバサンになってるわ!どうしたら良いの?まるでビノシュ版「ビッグ」(88年)だけれど、26歳から41歳になっても、たいして精神的な成長はなかったりする。

 ちょっと前のメグ・ライアンがハマりそうなヒロインだ。意中の相手と結婚していて(離婚寸前だが)、子どももいる。大企業で仕事ばりばりの高給取り。家政婦もベビーシッターも雇っている。大きな家だ。高級な家具もたっぷり。場所は何と、エッフェル塔のすぐ下だ。つまり悠々自適ライフ。コメディの匂いをぷんぷんにさせながら、意外なほど弾けないのはビノシュが基本的にシリアスな女優だからだろう。少しぐらい金持ちライフを楽しんだらどうか。

 ビノシュは役作りなのか、15歳老けた自分を見せるために、今度はやつれた顔を強調する。こけ気味の頬。紫色の唇。生気のない目。薄いメイクが死に化粧みたいだ。立派にホラー。ウエストを絞ったピンクの花柄ワンピースも恐怖を引き出すアイテムだ。無理してドタバタするのも、何度もキスを迫るのも、もはや狙っているのか?!

 15年の間に何があったのか、大抵の映画はフラッシュバックで見せるだろうけれど、それを選ばないところにおフランス映画の意地を感じる。ヒロインが周辺人物の態度や会話、状況変化を受け入れていくことで、それを悟らせる大人の演出だ。ただし、ヒロインの身には大袈裟に騒ぎ立てるほどに予想外の出来事は起こっていない。意中の男を手に入れたものの、仕事人間ゆえに周囲から嫌われている…程度のものだ。

 しかも、ヒロインがこれに対処するシークエンスがほとんどない。彼女は現実を受け入れることに精一杯で、だからこうしようという未来的な行動が全然ないのだ。そこにこそ共感を封じ込めるべきだろうに。大体、なぜ15年間の記憶がないことをさっさと男に告白しないのか。奇抜な設定を用意して、オチすらないとは、これいかに。





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