アドベンチャーランドへようこそ

アドベンチャーランドへようこそ “Adventureland”

監督:グレッグ・モットーラ

出演:ジェシー・アイゼンバーグ、クリステン・スチュワート、
   ライアン・レイノルズ、マーティン・スター、ビル・ヘイダー、
   クリステン・ウィッグ、マルガリータ・レヴィエヴァ

評価:★★★




 映画の中に自分で編集した音楽テープをプレゼントする場面が出てくると、それだけで嬉しい気分になってしまう。今はパソコンに取り込んだ音楽をCDに焼くのが主流だけれど、全然気分が出ない。音も悪いし、時間もかかるけれど、それでも手作りテープには何とも言えない愛らしさが漂う。ジェシー・アイゼンバーグがクリステン・スチュワートにテープを贈る件を見て、キャラクター造形は問題なしと確信してしまったほどだ。

 『アドベンチャーランドへようこそ』は1987年の夏をアドベンチャーランドでアルバイトして過ごすことになった仲間たちの物語。文科系で「ゲーム野郎」なアイゼンバーグを中心に、音楽や衣装に当時のポップカルチャーを満載に詰め込んで描き出していく。80年代は基本的に文化的にダサい時代だと言われていて、時代の色を念入りに織り込んでいくこの映画を見ても、抜群にカッコ良いとは到底思えない。作り手もダサさを大いに意識しているだろう。このダサさがしかし、郷愁をもろに誘ってくるから侮れない。ルー・リードやデヴィッド・ボウイらの音楽が次々流れ(音楽が流れていない場面の方が少ない)、ファッションもカラフル、女の子はマドンナ風、シンディ・ローパー風、ティファニー風に変身、ディスコで踊るのが流行り。呆れてしまうほど分かり易くて、やっぱりダサい。

 注目すべきは作り手がこのダサさの中に何がしかの真実を見つけていることだ。ダサさを笑い飛ばして終わってしまうのではなく、目の前にある物を懸命に追い求める純真さを掬い上げ、それを温かく見守ってもいる。人は他人をバカにして自分を上に置きたがる傾向にあるけれど、作り手はむしろ、このダサさに付き合って一緒に楽しんでいる。だから嫌な気分にならない。中でも主人公の造形に顕著だ。

 頭は良いはずのアイゼンバーグはしかし、人生経験というものをほとんど積んでいないがゆえ、その言動はダサい色一色に染まっている。気になる女の子にいきなり失恋話を始めたり、簡単に人を信用したり、一丁前に浮気したり、それを告白したり、でも相手が他の男にも気があることを知ると猛然と責めたり…。彼は自分の周りの他にも世界が広がっていることに気づかずに、自分の悩みこそが全てだと感じ入り、でもだから目の前の出来事に全力でぶつかっていく(おとなしめだけど)。それは案外尊いことではないか。自我を形成するのに大切なことではないか。愚かだけれど、意味のあること。そんな気がして、身につまされる。

 アイゼンバーグが役柄にハマっているのはもちろん(マイケル・セラでも代用が利きそうだけど)、クリステン・スチュワートも背伸びの具合が心地良くて健闘している。時折見せる笑顔も印象的だ。ただ、彼女はどの映画でもずっとローテンション。たまには弾けたところも見てみたい。あと、マネージャー役のビル・ヘイダーは出てくるだけで可笑しい。貴重な名バイプレーヤーだ。

 「アドベンチャーランド」を日本語に訳すなら「遊園地」がピッタリくる。80年代は遊園地からテーマパークへとエンターテイメントの場が変わっていった時代で、つまりこの映画の舞台となる遊園地は時代から取り残され気味のところがある。最新設備はなく、寂れた印象もある。ただ、テーマパークにはない、のどかで淋しげで、でも人間味が溢れている。そこに集まる者たちがアレコレ思い悩む様に親近感を覚えるのも当然と言えよう。





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