アイム・ソー・エキサイテッド!

アイム・ソー・エキサイテッド! “Los amantes pasajeros”

監督:ペドロ・アルモドヴァル

出演:アントニオ・デ・ラ・トレ、ウーゴ・シルヴァ、
   ミゲル・アンヘル・シルヴェストレ、ラヤ・マルティ、ハビエル・カマラ、
   カルロス・アレセス、ラウール・アレヴァロ、ホセ・マリア・ヤスピク、
   ギレルモ・トレド、ホセ・ルイス・トリホ、ロラ・ドゥエニャス、
   セシリア・ロス、ブランカ・スアレス、アントニオ・バンデラス、
   ペネロペ・クルス、パス・ヴェガ

評価:★★




 最近ではすっかり巨匠の風格を漂わせるペドロ・アルモドヴァルで好きなのは、作品に焼きつけられた哀しみやおかしみだ。人間ドラマであれスリラーであれ、アルモドヴァルが描くのは「愛」というヤツで、愛が愛であるがゆえに暴走し、変態性を帯び、そして異形のものへと形を変えていくところに、癒しに似た不思議な何かが浮上する。そこには生きる上での哀しみやおかしみが確かに感じられる。哀しくても、怖くても、どこか可笑しい。笑ってしまう。

 そのアルモドヴァル、『アイム・ソー・エキサイテッド!』では最近の一連の作品群とは明らかに違うところに向かう。スペインからメキシコへ向かう飛行機の一部が故障。降りられなくなった機内の中で繰り広げられる人間模様。アルモドヴァルならばいくらでもドラマティックにもサスペンスフルにも演出できそうなものなのに、そういう方向には目もくれず、ひたすら喜劇を追い求める。悲劇と裏返しの喜劇なんてものでもない。ほとんどギャグ映画と言っても良いのではないか。あぁ、でもアルモドヴァルは本来そういう人だった。

 要するにここに出てくる登場人物には、とても分かりやすい。見たままの行動を採る。それぞれ問題を抱えているのはもちろんだけれど、あくまでそれはギャグをキメるための要素に過ぎない。着陸に失敗して死ぬかもしれないという恐怖により、それぞれの本性を露わにし、しかし行き着く先は予測通りのスラップスティックな笑いだ。ここには人間の翳がないのだ。もちろんアルモドヴァルは意識的にそうしているのだろう。ただ、なんだか三谷幸喜映画みたいだ。

 それにアルモドヴァル映画から哀しみやおかしみと密着した変態性を排除してしまうと、後に残るのはゲイ的空騒ぎだけになる。最近の作品にもゲイ的要素はふんだんに盛り込まれていたものの、それが物語に馴染んでいたのは、変態性が柔軟にそれに絡みついていたからだと思い知る。下ネタがたっぷり盛り込まれたギャグの応酬が想像以上に生々しく下品だ。そして困ったことに、可笑しくもない。

 それでも目に残る画は確かにある。乗員乗客の中ではやはり、ビジネスクラスを担当する三人のオカマちゃん客室乗務員がインパクト大。一見普通の男なのに、ちょっと動いただけでオカマちゃんだと分かる。いちばんのデブの目化粧が怖い。三人がミュージカルに興じる場面のバカバカしさは、中盤のクライマックスだろう。夢に見そう。もちろん悪夢として。

 色彩感覚は相変わらず素晴らしい。機内は赤と青を基調にした、けれどいつものようにカラフルなもので、一発でセットだと分かるものの、それが楽しい気分。地上から参加するブランカ・スアレスが自転車に乗る際に着る白いワンピースや空港に赴くときの真っ赤なワンピースも良い。スアレスにはまたぜひとも、アルモドヴァル映画に出て欲しい。





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