BEST10 & WORST10 2013 Vol.3

◆BEST ACTOR
 マイケル・ダグラス(恋するリベラーチェ)
 ドニ・ラヴァン(ホーリー・モーターズ)
★ジェームズ・マカヴォイ(フィルス)
 ホアキン・フェニックス(ザ・マスター)
 マティアス・スーナールツ(君と歩く世界)

 同じく今年公開された『トランス』のマカヴォイの演技は、言わば『フィルス』のための助走だった。ふしだらかつ傲慢に暴れ回りながら、不思議と共感を獲得するダイナミック・パフォーマンス。一瞬も彼から目を離せない。役柄と同化し美しい変態を見せたダグラスやラヴァン、相変わらずのクセに凄味が宿るフェニックスもさることながら、スーナールツが体現する生命力が放つ吸引力にも目を見張った。命が肉体の中で動いているのがよく分かる。



◆BEST ACTRESS
 サンドラ・ブロック(ゼロ・グラビティ)
★エル・ファニング(ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界)
 ジェニファー・ローレンス(世界ひとつのプレイブック)
 エリザベス・オルセン(マーサ、あるいはマーシー・メイ)
 ミア・ワシコウスカ(イノセント・ガーデン)

 今この瞬間にしか演じられない役というものが存在する。一年早くても遅くても成立しない。そういう役に出合うのは本当に幸せなことで、ファニングはその夢を見事叶えた。その輝きは永遠に作品に刻まれる。肉体が誰よりも雄弁だったブロック、心と身体のアンバランスを的確に伝えたオルセン、心の闇を曝け出したワシコウスカも役柄に出合った女優たち。ローレンスは数十年に一人しか現れない女優とスターの混合体をを祝して…。



◆BEST SUPPORTING ACTOR
 ジェームズ・フランコ(スプリング・ブレイカーズ)
★サミュエル・L・ジャクソン(ジャンゴ 繋がれざる者)
 マシュー・マコノヒー(マジック・マイク)
 クリストフ・ヴァルツ(ジャンゴ 繋がれざる者)
 ブルース・ウィリス(ムーンライズ・キングダム)

 『ジャンゴ』は助演男優の充実がポイントだ。候補に挙げたふたりの他、レオナルド・ディカプリオも素晴らしい。ただ、ジャクソンの創りに創り込んだ演技の裏側にある闇を考えれば、作品におけるその重要性を無視などできない。映画史に残るキャラクターだ。フランコとウィリスはこれまでのイメージを愉快に打破。マコノヒーはその開き直りにより、中年になってからのもう一花を咲かせることに成功、おめでとうと言いたい。



◆BEST SUPPORTING ACTRESS
 アン・ダウド(コンプライアンス 服従の心理)
 ニコール・キッドマン(ペーパーボーイ 真夏の引力)
★エマニュエル・セニエ(危険なプロット)
 リリ・テイラー(死霊館)
 エマ・ワトソン(ウォールフラワー)

 色気をテクニックで捻り出すのは難しい。俳優の人間性と大いに関係するものであり、その隙のある物腰にふと表れるものだからだ。セニエは脱がないまま生活空間の中にそれを目一杯放出した。何とも言えないいやらしさはセニエのおかげだ。ダウドが見せる善人の狂気、キッドマンが放つ腐臭、テイラーの母性、ワトソンの聡明さから浮上する輝きも大いに見もの。とりわけキッドマンは、近年ベストの佇まいだった。



◆BEST BREAKTHROUGH ACTOR
 チャドウィック・ボウズマン(42 世界を変えた男)
★デイン・デハーン(クロニクル)
 エルンスト・ウンハウアー(危険なプロット)

 一見ひ弱そうなデハーンだが、孤独な目には狂気が宿り、身体の芯に鋭いナイフが通っている。人間ニトログリセリンのような危うさに包まれている身体が平凡な風景に紛れ込んだときの凄味よ。前髪を下ろしているときは目立たないが、実は額が面白い。何かを語りかけてくる額だ。



◆BEST BREAKTHROUGH ACTRESS
 ブリー・ラーソン(21ジャンプストリート)
 オーブリー・プラザ(彼女はパートタイムトラベラー)
★クヮヴェンジャネ・ウォレス(ハッシュパピー バスタブ島の少女)

 堂々たる映画デビューを飾ったウォレスは、いきなり彼女でなければ成立しない役柄を手にした。文明から切り離された大地に細い二本の足で立つその様が頼もしいこと。睨みを利かせたときの眼差しには力があり、そこいらの大人は動けなくなってしまうかもしれない。まだ子ども。上手に成長することを願う。



2013年BEST10をふりかえって

1. ゼロ・グラビティ
2. ジャンゴ 繋がれざる者
3. バーニー みんなが愛した殺人者
4. LOOPER ルーパー
5. ウォールフラワー
6. キャプテン・フィリップス
7. 世界にひとつのプレイブック
8. クロニクル
9. スプリング・ブレイカーズ
10. ペーパーボーイ 真夏の引力

 好きな映画に順位をつけるのは、実は難しい。今の気分は1位だけれど、明日になれば5位ぐらいかもしれない。もちろんその逆もあり得る。上位4本はどれをトップに置いても良いと思っている。

 ただ、風格という点を考えると、『ゼロ・グラビティ』がトップの方が収まりが良いと思うのだ。『バーニー みんなが愛した殺人者』や『LOOPER ルーパー』は2位以下の方が気持ち良さそうな気がする。『ジャンゴ 繋がれざる者』はトップの風格も具えているものの、クエンティン・タランティーノ映画は以前にトップに置いたことがあるので、今回は遠慮してもらった。

 それにしても『ゼロ・グラビティ』には興奮した。映画でなれば実現できない映像が、いや映画でも観たことがない映像が次から次へ。話が単純過ぎるようにも思えるけれど、いやいや、これ以上余計な装飾を加えたら、おそらくあの世界観が瞬く間に崩れ去るだろう。最小限にして効率的なドラマは、主演女優の肉体を眺めていれば、自ずと浮上するのだ。





◆WORST ACTOR
 ジェフ・ブリッジス(ゴースト・エージェント R.I.P.D.)
 アンソニー・ホプキンス(ヒッチコック)
 トミー・リー・ジョーンズ(終戦のエンペラー)
★ロバート・パティンソン(コズモポリス)
 ウィル・スミス(アフター・アース)

 実力のあるヴェテランだって、たまにはミスを犯す。ブリッジスは酔っ払っているようにしか見えず、ホプキンスは特殊メイクにより物真似に走り、ジョーンズは終盤チョロッと出てくるだけでご満悦。愛息子自慢を繰り広げたスミスは公私混同甚だしい。けれどいちばんのレッドカードはパティンソンへ。スーツが最初から最後まで馴染まないのは、この映画においては致命的だった。『ベラミ 愛を弄ぶ男』でも退廃をものにできず、息苦しい。



◆WORST ACTRESS
 ジョディ・フォスター(エリジウム)
 ラシダ・ジョーンズ(セレステ∞ジェシー)
 キーラ・ナイトレイ(アンナ・カレーニナ)
 オルガ・キュリレンコ(トゥ・ザ・ワンダー)
★ナオミ・ワッツ(ダイアナ)

 いや、別にワッツは健闘した方じゃないかと思うのだ。背が低いことを除けば、ダイアナ元妃に似せた方だろう。けれど、妃特有のの恨みがましい上目遣いの眼差しがどうしても頭から離れず、選ばないといけないような気分にさせられるのだ。監督に愛されなかったフォスター、イイオンナを気取ったジョーンズ、人形のような立ち居振る舞いだったナイトレイ、演技をし過ぎたキュリレンコ、いずれもワッツの眼差しの前に、堂々たる敗北を喫する。



2013年WORST10をふりかえって

1. アンナ・カレーニナ
2. セレステ∞ジェシー
3. スマイル、アゲイン
4. キャビン
5. アフター・アース
6. グランド・イリュージョン
7. ゴースト・エージェント R.I.P.D.
8. ダイアナ
9. モネ・ゲーム
10. 最愛の大地

 時折映画を舞台と間違えたような作品が出てくる。せっかくの自由な空間を限られた場所に押し込めて、自ら表現の幅を狭めてしまうような作品だ。『アンナ・カレーニナ』を監督したジョー・ライトは多分、その危険性を承知しつつ、その垣根を取り払おうとしたのだと思う。結果としてそれは上手く機能しなかったが、そういう野心は認めてあげたい。つまりこの映画のトップは、敬意を表して、ということだ。

 こうしてワースト映画を眺めてみると、嫌いな理由は様々だ。主人公が好きになれなかったり、作り手の立ち位置が不可解だったり、やる気が感じられなかったり、真面目さが退屈を生んでいたり…。

 そんな中でも自分を賢く見せようという意識が過剰な作品は嫌だ。おとなしく自意識を抑えていれば良いのに、そういうのに限って目立ちたがりだ。『セレステ∞ジェシー』のセレステという人物は、まさにそういう女だった。






まとめ

 こんなに映画を観ているのに、なぜ飽きないのだろうと考える。

 はっきりした理由は分からないけれど、一定のペースで観たことのない映画に出合うからかもしれない。映画でしかあり得ない新しい芸術表現が、映画の永遠の謎に繋がっているような気がするのだ。だからもしかしたら、新しい才能が全く出てこなくなったとき、映画を観るのをやめるだろう。

 でもきっと、そんなことにはならない。映画の可能性はきっと、まだまだたっぷり残されている。

 最後に、2013年、楽しませてくれた映画にありがとう。





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