BEST10 & WORST10 2013 Vol.1

2013年 BEST10



1. ゼロ・グラビティ “Gravity”
 監督:アルフォンソ・キュアロン
 出演:サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー

 宇宙空間で起こった惨劇を描きながら、その向こうに人生の旅を見つめる。生きる意味が激しく揺さぶられる。誰かに寄り添いたくなる。自分の足で大地を確かめたくなる。ヒロインの生まれ変わりを三度目撃し、その度に我が身までもが宇宙空間の中で震える。とりわけ最初の生まれ変わりは、母の羊水に浮かんだヒロインの姿が、強烈に脳裏に焼きつく。ヴィジュアルが何よりもドラマを語る。



2. ジャンゴ 繋がれざる者 “Django Unchained”
 監督:クエンティン・タランティーノ
 出演:ジェイミー・フォックス、クリストフ・ヴァルツ、レオナルド・ディカプリオ、サミュエル・L・ジャクソン

 キーワードは血と暴力。その細胞を形作るのは往年のギャング映画、ブラックスプロイテーション、仁侠映画、戦争映画、そしてマカロニウエスタン。タランティーノによる偏愛映画へのラヴレター。「無邪気な円熟」が歴史とB級テイストを楽しげに何度も衝突させ、気がつけば広がるチープ&ゴージャスな世界。痛みとおかしみが溢れる中に本物の「クール」を見る。



3. バーニー みんなが愛した殺人者 “Bernie”
 監督:リチャード・リンクレイター
 出演:ジャック・ブラック、シャーリー・マクレーン、マシュー・マコノヒー

 テキサスにやって来た葬儀屋バーニー・ティーダに魅せられる。仕事熱心で心根優しく、真面目で…でもどこか胡散臭い。リンクレイターは灰色の楽園を目指す。その中心にいるのはジャック・ブラックだ。マスコット風の容姿を最大限に活かし、町に少しずつ自分の匂いをつけていく。何度も響き渡る歌声が、出っ張った腹が、いんちきマジシャンのようなヒゲが、誰しも抱える闇と密着する。



4. LOOPER ルーパー “Looper”
 監督:ライアン・ジョンソン
 出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ブルース・ウィリス、エミリー・ブラント

 ややこしい状況を恐れることなく、場面毎に次々新しい情報が投下される。しかし、頭と心が切り離されるような事態は避けられる。ややこしくなればなるほどに、物語の表情が万華鏡のように変わる。予想外の方向に二転三転する物語は、クライマックスで愛のそれへと変貌を遂げる。人間が人間であるがゆえの驚きと哀しみと、そして愛が深い余韻を残す。



5. ウォールフラワー “The Perks of Being a Wallflower”
 監督:スティーヴン・チョボスキー
 出演:ローガン・ラーマン、エマ・ワトソン、エズラ・ミラー

 周りに思うようには溶け込めない不器用な魂に光が射す。きっかけは自分と同じ、はみ出し者の兄妹の出現。彼らと積極的に関わりながら、少しだけ無理をして自分を変えていく主人公が切なく、胸を打つ。青春にはその甘い響きとは裏腹に、苦悩の方が断然多い。それを楽しさと共にヴィヴィッドに描き出す。誰もが通り、誰もが忘れてしまう、時代の輝きに魅せられる。



6. キャプテン・フィリップス “Captain Phillips”
 監督:ポール・グリーングラス
 出演:トム・ハンクス、キャサリン・キーナー、バーカッド・アブディ

 海賊のボートがレーダーに映ってから異様な緊迫感に貫かれる。グリーングラスが得意とするドキュメンタリー・タッチの演出法が次々ハマり、気がつけば同じコンテナ船に乗り込んでいるような気配。恰幅の良いハンクスとガリガリのアブディの対比は、そのまま物語の背景の説明になる。愚行の影には生きる飢えがちらつき、それが足に絡まって離れない。



7. 世界にひとつのプレイブック “Silver Linings Playbook”
 監督:デヴィッド・O・ラッセル
 出演:ブラッドリー・クーパー、ジェニファー・ローレンス、ロバート・デ・ニーロ、ジャッキー・ウィーヴァー

 かなり際どい。右に転べば哀れな男女のラヴストーリーへ、左に転べばその普通ではない心象を見世物にした破廉恥コメディへ。ラッセルはそのギリギリのところを突っ切る勇気を見せ、なおかつ勝利する。そこに浮上する生きていく上での哀しみとおかしみが、なんとも胸に沁みる。格好のつかないおかしな振る舞いを笑うだけではなく、愛情を注いだのが勝因だ。



8. クロニクル “Chronicle”
 監督:ジョシュ・トランク
 出演:デイン・デハーン、アレックス・ラッセル、マイケル・B・ジョーダン

 ビデオカメラを回して日々を記録することだけで自分を確かめられる少年が、毛穴に沁み込むような嫌な現実感を伴いながら暴走する。自己の確立がままならない魂がもがき苦しむ様に青春の残酷さがちらつく。そこに浮上する、ある種のカタルシス!誰よりも強力な力を獲得した少年は、誰よりも脆く弱かった。こんな寂しいことはない。そして彼は、もうひとりの自分だ。



9. スプリング・ブレイカーズ “Spring Breakers”
 監督:ハーモニー・コリン
 出演:ヴァネッサ・ハジェンズ、セレーナ・ゴメス、アシュレイ・ベンソン、レイチェル・コリン

 女の尻とそれに覆い被さるビキニをしつこく念入りに追いかけ続け、終いには詩情を捻り出してしまう強引さが可笑しい。幼く、あどけなく、まだ熟していない身体が、犯罪の世界に嬉々として揉まれる様に宿る、不思議なエロス。それがビッチと密着する。色っぽい悪夢が広がり、そう、合言葉はもちろん「ビキニとケツこそが人生だ!(Bikinis and Big Booties, y'all, that's what life is about!)」。



10. ペーパーボーイ 真夏の引力 “The Paperboy”
 監督:リー・ダニエルス
 出演:ザック・エフロン、マシュー・マコノヒー、ニコール・キッドマン、ジョン・キューザック

 人種差別が色濃く残る1969年の南部、それは平然と表れる。躊躇いはない。ワニの身体からはみ出した内臓と一緒に、差別的言動が強烈な腐臭を放つ。しかもそれが高温多湿の空気や黒いものを抱えた人間たちの思惑と密着する。少しでも気を抜くと、指の先から生きながらにして腐り始めそうな気配。それに抵抗するように若い心がもがく様に残酷に魅せられる。



次点. テッド “Ted”
 監督:セス・マクファーレン
 出演:マーク・ウォルバーグ、ミラ・クニス

 ぬいぐるみが喋るという設定は普通だ。しかし、命を与えられたぬいぐるみが少年と一緒に成長、オッサンになる映画は聞いたことがない。中年のクマのぬいぐるみが期待を裏切らない大暴走。ぬいぐるみと中年男がソファーでジャンクフードを喰らいながらフットボール観戦するショットが、何よりもこの映画を象徴。くだらなくて、くだらなくて、でも愛しくて…。



未公開. 21ジャンプストリート “21 Jump Street”
 監督:フィル・ロード、クリストファー・ミラー
 出演:ジョナ・ヒル、チャニング・テイタム、ブリー・ラーソン、デイヴ・フランコ

 童顔のでこぼこ二人組警官が高校に潜入捜査に入るという大枠の中で、活きの良い笑いがあちらこちらで弾ける。二人組は新たなる高校ライフでコンプレックスを克服する。そこでは健全な精神と背伸びをした不良心が常に衝突。懐かしく新しい世界観を見事勝ち取る。冴え渡るコンビネーションやアイデア豊富なアクションも大いに見もの。感性が若い。



その他のBEST10選考作品
『ムーンライズ・キングダム』『ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日』『ゼロ・ダーク・サーティ』『ザ・マスター』『リンカーン』『ホーリー・モーターズ』『ハッシュパピー バスタブ島の少女』『コン・ティキ』『マジック・マイク』『エンド・オブ・ウォッチ』『スター・トレック イントゥ・ダークネス』『トランス』『危険なプロット』『恋するリベラーチェ』『セブン・サイコパス』『フィルス』『キラー・スナイパー』『プレミアム・ラッシュ』『ラブ・トライアングル』





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