スティーラーズ

スティーラーズ “Pawn Shop Chronicles”

監督:ウェイン・クレイマー

出演:ポール・ウォーカー、ケヴィン・ランキン、ルーカス・ハース、
   ノーマン・リーダス、マット・オリアリー、トーマス・ジェーン、
   マット・ディロン、イライジャ・ウッド、DJ・クォールズ、
   ペル・ジェームズ、ブレンダン・フレイザー、アシュリー・シンプソン、
   ヴィンセント・ドノフリオ、シャイ・マクブライド、サム・ヘニングス

評価:★★




 ウェイン・クレイマーの名前を覚えたのは「ワイルド・バレット」(06年)だ。あのクエンティン・タランティーノが絶賛したという触れ込みのB級映画。確かにタランティーノが好きそうな映画ではあった。技の数々は洗練には程遠いものの、それを吹き飛ばす勢いに溢れていた。作品のムードと演出の個性が合致していたのだ。

 そのクレイマー、「正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官」(09年)ではシリアス方向に踏み込み過ぎていたものの、『スティーラーズ』では軌道修正、これが俺だとB級映画のフィールドに戻ってきた。南部の寂れた町、春になっても黒人サンタクロースの置物が飾られた質屋を中心に、田舎暮らしに飽き飽きしてるだろう人々の一日を三つの物語を通して描く。クレイマーがどんなバランス感覚でそれを演出するのか、身を乗り出す。

 一見クレイマー復活を思わせる。意表を突くアングル。スローモーション。ズームアップ。逆回し。漫画の挿入。映像で遊びたいという気配が濃厚に漂っていて、ヘッドフォンを耳に当て大音量でヒップホップでも聴きながら、大勢が集まるパーティでマリファナでハイになりながら、気の置けない仲間と徹夜で踊り狂いながら、撮っているみたいな印象だ。俺たちサイコー。けれどどうも、楽しんでいるのは監督と俳優だけのような気がする。脚本が弱いのだ。

 三つの話の絡ませ方に芸がないのには目を瞑るにしても、いずれもキャラクターに寄り掛かった単純なものでしかないのが痛い。行き当たりばったりを予想不能だと言い包め、ジェットコースターを気取っている。癖のある人物たちのドタバタを捻りだと勘違いしているフシもある。

 すると、平坦な話の上に浮かび上がるのは、残酷な暴力ということになる。銃を使ったお約束のそれはもちろん、弓矢が空を飛び、ハンマーが振り下ろされ、凝った拷問もシラッと涼しげな顔で現れる。ブラックジョークとして見せるには無邪気さがなく、暴力が持つ負のエネルギーを嬉々として放出しているような、嫌な後味を残す。

 三つの物語のトーンが全く異なるのは狙い通りなのだろう。強盗パートはクライム・コメディ調。監禁パートは猟奇スリラー風。芸人パートは不条理ドラマっぽい。いずれも俳優たちは楽しそうだ。楽屋でじゃれているみたいに楽しそうだ。俺たちと一緒にオマエらも楽しめよと語りかけるように楽しそうだ。これが次第に悪ノリコントに見えてくるのは共通している。笑えないコントは辛い。せめて強盗パートで脈略なく出てきたユダヤ人話のような人を喰った笑いをふんだんに盛り込むべきだった。





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