バックコーラスの歌姫たち

バックコーラスの歌姫たち “20 Feet from Stardom”

監督:モーガン・ネヴィル

出演:ダーレン・ラヴ、メリー・クレイトン、リサ・フィッシャー、
   タタ・ヴェガ、クラウディア・リニア、ジュディス・ヒル、
   スティング、ブルース・スプリングスティーン、ミック・ジャガー、
   ベット・ミドラー、スティーヴィー・ワンダー、シェリル・クロウ、
   パティ・オースティン、クリス・ボッティ

評価:★★★




 バックコーラスに聴き惚れるのは、意外によくあることだ。今の時代にはあまり求められていないらしいのだけれど、そこにソウルがあれば人の心を掴むことはできるのだ。ドキュメンタリー『バックコーラスの歌姫たち』には一流の業績を残した、しかし名も知らぬバックコーラスのプロフェッショナルがわんさか出てくる。皆さすがに、聴かせる。

 けれど、バックシンガーを到達点として目指す人はきっと多くない。大半はソロとしての、或いはバンドのフロントとしての歌手デビューを夢見て、下積みとしてコーラス業に挑むはずだ。つまりここに出てくるバックコーラスのプロは「成功」できなかった者がほとんどだ。「センターまで数歩の距離だけど、そこに辿り着くのが難しい」というセリフが出てくる。その数歩には何があるのか、探られる。

 自らセンターに立つことを拒む者がいる一方、ソロとしてレコードデビューを飾りながらヒットに恵まれなかった者がいる。コーラスに戻ったり、家政婦や教師等の別の職業に就いたり…。またある者は他の歌手の替え玉としてプロデューサーに都合良く使われる。「天野春子かよ!」と思わず突っ込みたくなる哀しい現実。

 けれど、今の彼女たちの顔にはバックシンガーとしての誇りだとか自信だとか、ポジティヴなものが目立つ。もちろんあのときのことを思い出せば腹立たしいし哀しい。何がイケなかったのか考えることもあるだろう。それでも結局歌うことが好きで、歌い続けることで身体の隅々の細胞が生きていることは間違いない。数歩の距離を辿り着けなかったことが、もしかしたら今の彼女たちを立たせているのかもしれない。音楽の物語がいつしか、人生の物語へと変態を遂げる。

 歌姫たちの告白やキャリアから音楽界の変遷が見て取れるのが興味深い。バックシンガーの多くがルーツを教会のゴスペル聖歌隊に見つけていること。60年代・70年代の音楽が求めていたもの。コーラスが機械に取って代わられる現実。コーラスに対する歌手やバンドの向き合い方。コーラスの歴史は、そのまま音楽史に繋がっていく。

 主人公のひとり、ダーレン・ラヴをリードヴォーカルに迎えた「Lean On Me」のスタジオパフォーマンスが物語のクライマックスだ。同業のシンガーをコーラスに迎えて歌われるそれの、何ともまあ、パワフルなこと。歌い上げる楽曲や歌唱が苦手な者の心をもがっちり掴む。魂の声がそこにある。ロックの殿堂入りも当然だ。彼女たちが参加した楽曲を辿って音楽を聴くと、また何か新しいものが見えてきそうな気がする。





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