セッションズ

セッションズ “The Sessions”

監督:ベン・リューイン

出演:ジョン・ホークス、ヘレン・ハント、ウィリアム・H・メイシー、
   ムーン・ブラッドグッド、アニカ・マークス、W・アール・ブラウン、
   アダム・アーキン、ロビン・ワイガード、ミン・ロー、
   ラスティ・シュワイマー、リー・パールマン、ブレイク・リンズレイ

評価:★★




 幼少期にかかったポリオにより首から下の筋肉が一切動かない主人公は、大学を卒業したときのニュース・レポートでこんな風に紹介される。「勇気と忍耐で障害を乗り越えました」。嫌な予感が過ぎる。またもや障害者拝跪に走った、感動の押し売り映画なのではないか。

 『セッションズ』はまず、この疑念を吹き飛ばす。マーク・オブライエンという名のこの男のキャラクター作りが悪くない。恵まれない境遇を哀れまない。苦悶の表情を浮かべることもない。ジャーナリストとして金を稼ぎ、自分の気に入ったヘルパーを雇う自立性を見せる。皮肉混じりのユーモアがカラッとしていて、哀しみに押し潰されることのない精神的強さを感じさせる。自分を「干からびたガム」に例え、大掛かりな呼吸器を「鉄の肺」だと形容する。気に喰わないヘルパーをクビにする際、教会で神父相手にそれを告白するのが可笑しい。

 その彼が興味を抱く、そして恐れも抱くのが、性生活の突破だ。アメリカには(日本にも?)セックス・サロゲートという職業があるらしく、セックスのできない人を対象にその指南をするのだという。オブライエンは躊躇いながらも、それに立ち向かう。そう、見ものとなるのは、性の冒険だ。

 セックス・サロゲートの仕事ぶりを見ると、この職業が売春婦とは違うことは明らかだ。対象者をくまなく観察し、何が問題かを炙り出し、そして何が最善かを考え、そして彼を身も心もセックスへの解放に導かねばならない。オブライエン役のジョン・ホークスとセックス・サロゲート役のヘレン・ハントはある意味事務的である「セラピー」を、自前の肉体と限られた動作を駆使して大変分かりやすく見せる。

 ただ、「真面目」を意識し過ぎた嫌いはある。デリケートな題材ゆえにやや臆病になったか、色気という方面をもっと前面に押し出しても良かったのではないか。ホークスはセラピーだと承知しつつハントに惹かれ、ハントもまた仕事だと割り切ったつもりがよろめきを覚える。そういう展開を用意しながら、激しい逸脱は拒否。あくまで大人なふたりの描写に留まる。まあ、これ以上やると、メロドラマになってしまうので難しかったのかもしれない。ハントがキャスティングされている時点で、過剰な性アピールは諦めるべきか。

 説明的な演出になっているのは、はっきりと気にかかる。ホークスは神父に告白することで(神父役のウィリアム・H・メイシーの表情が最高)、セラピーの感想を逐一打ち明ける。どんな思いを抱いたのか、セリフによって語る。ハントはというと、報告所作りのためのテープ録音により、ホークスの置かれている状況を把握。セラピーがどういう段階にあるのかを、やはりセリフで語るのだ。画の力を信じた見せ方ではない。映画的でないと言い換えることも可能だ。

 そうした「生真面目」「丁寧」な要素が積み重なるとどうなるか。まるで障害者のセックス・マニュアル的な頭でっかちな側面が出てくるのだ。さあ、障害者の皆さん、新しい人生の扉を開いてみませんか。健常者の皆さん、理解しましょう。セックスそのものを描くのではなく、セックスの経験が生み出すものこそがテーマになるべき物語であることは明らかで、それに昇華するにはエピソードが弱い。物語の最初と最後で主人公のイメージが全く変わらないのが、その証拠だ。





ブログパーツ

blogram投票ボタン

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ