パラノイド・シンドローム

パラノイド・シンドローム “The Letter”

監督:ジェイ・アナニア

出演:ウィノナ・ライダー、ジェームズ・フランコ、ジョシュ・ハミルトン、
   マリン・アイルランド、キャサリン・ウォーターストーン、
   ダグマーラ・ドミンスク、ライラ・ロビンス、ジュリー・アン・エメリー

評価:★




 主人公のマーティーンはオフブロードウェイの新作を準備中の劇作家。その作風は前衛的と捉えられているようだ。冒頭には老婆と思しき女がステージの上で奇怪な姿を披露している。前衛芸術って何だろう、と思う。時代の先を行くと言えば格好良いけれど、気をつけないと単なる自己満足の世界に突入するだけで終わるのではないか。

 …と言うのも、この『パラノイド・シンドローム』、作品自体が前衛的と言うかわけが分からないと言うか。劇作家が現実と妄想の裂け目に落ちていくところを映像で表現した(だけの)作り。意味ありげなナレーションと延々流れるピアノによるスコア。サブリミナル的に入るイメージカットに、別シーンのセリフを被せに被せる画面作り。何を言いたいのかさっぱり理解できない言葉。作り手には何か意図するところがあるのだろうけれど、ちっとも伝わらない。

 はっきりと分かるのは、マーティーンの精神状態が普通ではないということだ。色のない世界。目の前の出来事や今の自分を説明できない状況。度々挿入される交通事故と思しき音。唐突に始まる死を仄めかす会話。銅のサプリメントとその過剰摂取による統合失調症。マーティーンの周りは不穏な要素が満載で、そこに新入りの俳優まで加わって最初から破滅の匂いがぷんぷんだ。

 問題はそこに吸引力がない点だ。不安定な精神状態は確認できても、そこにデンジャラスな匂いが立ち上がらないのだ。簡単に言ってしまうと、どうでも良い。はっきり言えよと言いたくなる煮え切れない物言いばかりで引っ張り、面白い画もアッと言わせる展開もない。ただただ曖昧な世界観を見せるのみ。

 マーティーンを演じるウィノナ・ライダーがまたしてもセルフパロディのような演技。「ブラック・スワン」(10年)で落ちぶれたバレリーナを意地悪に配役されていたのに続き、今度は心が壊れてしまう女だ。きょろきょろと焦点が定まらない視線。落ち着くことのない挙動不審の態度。何かから逃げているような雰囲気。演れば演るほど哀れに見えるのが不憫だ。どうやってこの現状を打破すれば良いのか。ライダーじゃなくても分からない。

 ライダーのパロディ劇場に、何故だかジェームズ・フランコが出てくる。結構出番も多い。けれど、演技は見事に一本調子でべっくらこく。目を細めて意味不明な笑いを浮かべるばかりで、思わず「五木ひろしかよ!」と突っ込みを入れる。ライダーに負けず劣らずはっきりしない役柄で、もやもやしたものを残すだけ。一体この役の何に惹かれたのか。

 劇作家の精神的な事故をイメージ化しただけの映画。自分には何の意味ももたらさない他人の夢のようだ。観客をそれに付き合わせるのであれば、劇作家らしい面白いそれにして欲しい。





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