セックス・クラブ

セックス・クラブ “Choke”

監督:クラーク・グレッグ

出演:サム・ロックウェル、アンジェリカ・ヒューストン、ケリー・マクドナルド、
   ブラッド・ウィリアム・ヘンケ、ジョナ・ボボ、ヘザー・バーンズ、
   マット・ジェラルド、ジョエル・グレイ、パス・デ・ラ・ウエルタ

評価:★★★




 出てくる登場人物が皆吸引力を持っているのが、いちばんの見もの。決して褒められた思索家ではないのに、見入ってしまうものを持っている者ばかりが出てくる。中でも主人公の描き込みが優れている。とにかく「濃い」のだ。セックス依存症で、それを治す会にも出ているのに、そこでもコトをいたしてしまうのは序の口。適当に働いている植民地時代を扱ったテーマパークでも、認知症の母親が入院している施設でも、気がつけばコトに及んでいる。妄想もたっぷり。入院費用を稼ぐために詐欺行為をしているのも可笑しい。喉にモノを詰まらせて、金持ちに助けを求め、それをきっかけに金を恵んでもらうというんだもの。金を手に入れる方法として、心理の読み方がちょっと新しい。

 このキャラクターをサム・ロックウェルが演じているのも心強いところだ。だらしないの一言で片づけられてもおかしくない男なのに、情けなさそうなその佇まいが目に焼きついて離れず、気がつけばずっと彼の姿を追っている。ロックウェルという人は、善人とも悪人とも言えない曖昧な領域を動き回るのが抜群に巧い。多分人間が持つ臭みをコントロールする術に長けているのだと思う。息苦しいその生き方に、憎めない人間らしさを絶妙の塩梅で散りばめている。同じく憎めない友人役のブラッド・ウィリアム・ヘンケ(何かを見つけては自慰行為に走ろうとするのが妙に可笑しい)との掛け合いも愉快痛快。

 『セックス・クラブ』の前半は、主人公が置かれている現状、そしてその周辺人物のスケッチに当てられている。一筋縄では行かない人物ばかりだから、たとえ物語が急展開を見せなくても、画面がモッてしまう。後半になると、母親の日記から主人公の出生に関するある秘密が明らかになる。ようやく物語が動き出すのかと思いきや、それでも映画的なダイナミックな展開は訪れない。これも狙い通りなのだろうけれど、やや肩透かしの感はある。ただ、出生の秘密に関しては、なかなか突拍子もない事実であることもあり、次第に男と物語が掴み所のない不可思議な空気に包まれていくのに味がある。宗教的というかデカダンス的というか。

 男は人生を見つめ直すことを強いられる。たった一冊の日記が、彼をどこかに追い込んでいく。原題の「choke」は窒息という意味があるようで、単純に男の詐欺的行為を表しているだけではなく、その人生そのものを象徴していることが、急激にせり上がってくる。ポイントとなってくるのは母親との関係で、描かれるその顛末にはブラックな味つけがたっぷりで嬉しい。

 主人公の母親役にアンジェリカ・ヒューストンを当てるセンスが素晴らしい。フラッシュバックシーンでの普通ではないその母親ぶりに、何の違和感もないあたり、ヒューストンの器の大きさを物語っている。隠そうとしても隠せないスケール感。だからこそ呆気なくて皮肉な退場場面が、かえって印象に残る。





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