オーバードライヴ

オーバードライヴ “Snitch”

監督:リック・ローマン・ウォー

出演:ドウェイン・ジョンソン、スーザン・サランドン、バリー・ペッパー、
   ジョン・バーンサル、マイケル・K・ウィリアムス、
   メリーナ・カナカレデス、ナディーン・ヴェラスケス、ラフィ・ガヴロン、
   デヴィッド・ハーバー、ベンジャミン・ブラット、ハロルド・ペリノー

評価:★★★




 おかしい。ドウェイン・ジョンソンが“ザ・ロック”にならない。山脈のように盛り上がった二の腕が見えないし、弾力ある筋肉と全身のバネを使ったアクションも出てこない。クライマックスにならないと血を流さないし、強気の言葉も出てこない。御馴染みのスマイルも封印だ。それどころか田舎のチンピラにタコ殴りされる。惨めに土に這いつくばる。「こんなデカくて女々しい男は見たことがねぇ」なんて言われもする。あぁ、ロックさまぁぁぁぁぁ。

 『オーバードライヴ』でジョンソンが演じるのは、運送会社の社長さんだ。高級スーツを着るようなシャッチョさんじゃないのは有難いけれど、それを差し引いてもジョンソンはシャッチョさんが似合わない。そのジョンソンの疎遠な息子が軽率に麻薬を受け取ったことで実刑を喰らう。懲役何と10年。ハメられた息子を救うため、父ちゃんは連邦検事と交渉し、麻薬組織に潜り込むことで減刑を狙う。

 これまでのジョンソンなら、潜入した直後から大掛かりなアクションを畳み掛けるところだ。ところが、ここで選ばれるのはぶっ飛んだファンタジーではなく、現実味というヤツだ。我々が平穏に暮らす町の延長に裏社会があり、そこではドラッグと大金がテニスのボールのようにぽんぽん飛び交っている。麻薬戦争から一向に抜け出せないアメリカの闇。それを身近に感じさせる意義は、確かにある。ジョンソンはその案内役を請け負う。

 ジョンソンがこういう役を演じる必要があるのかという疑問は常にちらつく。ひょっとするとジョンソン自身も自分に問い掛けるところがあったのではないか。ただ、そうせざるを得ない深刻さがあるのかもしれない。たとえいつもの自分を犠牲にしてまでも、伝える価値があると…。

 それにジョンソンは今回、息子への愛情を上手く表せない父親の顔を出していて、そちらで役者としての満足を獲得しているように見える。「ディア・ブラザー」(10年)ではヒラリー・スワンクが兄の無罪を証明するにために弁護士になったけれど、それに匹敵する無謀さが父の愛情と密着する。はっきり言って、ジョンソンの演技は拙いものだけれど、そんなこと、どうでも良い。温かなハートが動いている。涙が冷たくない。

 人間という生き物の「醜」の部分がさり気なく描かれる。ワルどもの狡猾さはもちろん、捜査を政治に利用する検事や大物を捕らえようと打算を働かせる捜査官のしたたかさが静かに浮上。ジョンソンが見せる父性でさえ、全面的な「美」ではない。更生中の部下を巻き込む身勝手さや家族への影響を無視するのめり込み。もう少しで危ういバランスが崩れる。そのギリギリの線に人間を見る。





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