ガーディアンズ 伝説の勇者たち

ガーディアンズ 伝説の勇者たち “Rise of the Guardians”

監督:ピーター・ラムジー

声の出演:クリス・パイン、ヒュー・ジャックマン、ジュード・ロウ、
   アイラ・フィッシャー、アレック・ボールドウィン、ダコタ・ゴヨ

評価:★★




 これは御伽噺の世界を舞台にしたアニメーション版「アベンジャーズ」(12年)だ。寒さの化身であるジャック・フロスト。クリスマスと言ったらこの人サンタクロース。復活祭は大忙しのイースターバニー。歯が抜けたときは頼りにしたいトゥース・フェアリー。眠りの妖精として知られるサンドマン。彼らがガーディアンズなる特殊部隊を結成。子どもから夢と希望を奪おうとするブギーマンと対決する。ひゃっほう!空想の世界の住人が一度に見られるなんて、なんて贅沢なんだ!…というわけだ。

 『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』が盛り上がりに欠けるのは、彼らを登場させただけで満足しているからだ。もちろん容姿は全く違うものの、その能力に際立ったところがさほどなく、そもそも何故彼らがガーディアンズでなければならなかったのか、掴み辛い。青いピーター・パンみたいなジャック・フロストこそ、そのアイデンティティーが探られるものの、残りのメンバーはただ出てきた感が強い。

 加えて絵柄が可愛らしくない。サンタクロースとイースターバニーはそのままコスプレ殺人鬼として通用しそうな風貌だし、トゥース・フェアリーはそのカラフルな衣装と化粧が悪い方向に転んでキャバクラのオネエチャンみたい。ジャック・フロストはクールな少年風を狙っているのだろうけれど、残念、味気ない日本のゲーム風アニメーションを思い出す。表情も誰も彼も死んでいるみたい。

 ジャック・フロストの過去の話はもっとじっくり見たかった。彼は何故生まれたのか。自分の核はどこにあるのか。過去には妹との哀しい出来事があり、それを遂に知るときがやってくる。その際のジャック・フロストの反応に拍子抜け。えっ、そんなに簡単に納得していいの?物語上、最も重要なところじゃないの?

 終幕の展開も大味だ。子どもたちに自分たちの存在を信じさせるやり方が、実際に特殊能力を使うところを見せるというのは、あまりに芸がないのではないか。大きな刀やブーメランを持って戦う様は暴力映画のようではないか。ジャック・フロストと同じようにブギーマンが抱えている哀しみが完全に無視されるのはデリカシーに欠けるのではないか。機械化された不思議の世界の描写も含め、ぶっ飛んだ世界観をまとめ上げる術がなかったようだ。即ち、アイデア倒れ。

 唯一ブギーマンのデザインは良い。深い闇を感じさせて、かえって美しい。黒い馬たちも素晴らしいアクセント。ジュード・ロウのヴォイス・パフォーマンスも的確と言える。様々な色が溢れる世界観の中、最も綺麗に光る色が黒というのは、少々皮肉かもしれない。





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