ナタリー

ナタリー “La délicatesse”

監督:ダヴィド・フェンキノス、ステファン・フェンキノス

出演:オドレイ・トトゥ、フランソワ・ダミアン、ブリュノ・トデスキーニ、
   メラニー・ベルニエ、ジョセフィーヌ・ドゥ・モー、
   ピオ・マーマイ、モニーク・ショメット、マーク・シティ

評価:★★★




 オドレイ・トトゥに未だ不思議ちゃんのイメージが強いのは、黒目の大きな目と、もちろん「アメリ」(01年)の影響だ。けれどあれから10年以上が経ち、ようやく普通の人間になりつつある。ファンタジーの世界が似合うとは言え、現実社会にも馴染むようになった。加齢により、中央に寄り気味の目、男前な眉毛が強調され、獅子を思わせる顏立ちになってきた。綺麗だけれど、手強い感じが、悪くない。髪の毛はアップでまとめたときが美しい。

 人気の恋愛小説を基にしたという『ナタリー』は、トトゥ版「美女と野獣」のような話だ。夫を交通事故で亡くして以来仕事一筋に生きているパリの未亡人が、ふとしたことをきっかけに会社の同僚であるスウェーデン男と恋に落ちる。ポイントは男がブサイクという点で、周りの人間はふたりは似合わないと、影でひそひそ話に興じる。…となると、重要なのは男のキャスティングだ。

 男を演じるのはフランソワ・ダミアン。真っ先に目が行くのは、クマを思わせる巨体。ハゲ散らかした頭部。歪んだ歯並び。無造作に生えているヒゲ。何より全体の印象がぼんやりしている。ジョギングするときの青い短パンも強烈だし、いつも着ているストライプのセーターもダサさ加減がなかなかのインパクトだ。というわけで、確かに冴えない容姿。ただし、温かい。一発で心の温かさを感じさせる目をしている。

 その上、言動に天然のところがある。恋をしないようにとトトゥの顔を見ないよう必死になったり、もったいぶって渡したプレゼントがたいしたものじゃなかったり、デート中に夜景の綺麗な場所から突如消えてしまったり…。これはかなり際どいところだ。愚鈍なのを素朴だと言い包めるやり口ではないかと警戒する。ただ、何とかそれを乗り切る。ダミアンが体現する真心が嘘臭くないからだ。ハリウッドでリメイクするなら、男の役はちょっと年齢が合わないものの、ポール・ジャマッティが適役だと思う。

 トトゥとダミアンの恋の始まり方が可笑しい。オフィスで何も考えずに仕事していたトトゥをダミアンが訪ねたときのこと。まるで催眠術にでもかかったようにトトゥが突然、ダミアンの唇を奪うのだ。しかも、結構激しく。ダミアンは呆然。その後うきうき気分になり、街がいつもと違って見えるダミアンが可愛らしい。翌日再びトトゥを訪ねると、キスを覚えていないというのが、ふむ、ロマンティック・コメディとしてパーフェクト。

 物語は他愛ない。傷を抱えた女と臆病な男の再生の旅。ふたりを良くは思わない周囲からの茶々。描きたいことは分かっても、見せ方は平凡。特に胸に引っ掛かるところも残るところもない。やはりこれは、トトゥとダミアンが一緒にいるときの画を楽しむ映画ということだろう。

 恋の舞台として、パリは相変わらず強力だ。冒頭にはトトゥと夫がカフェで出会う場面がある。カフェの中で互いの飲み物に探りを入れたり、カフェを出た直後に男が女の腕を引いて振り向き様にいきなりキスしたり…。後にこれは既に夫婦であるふたりがゲームに興じていたことが分かるのだけれど、それでも魅せる。カフェが、街が、大人の男女の遊びを充実させるのだ。男が鍵についたキーホルダーを指輪代わりにしてプロポーズする件も、パリならではのカッコ良さ。しゃら臭くもあるところが、らしい。





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