いとしきエブリデイ

いとしきエブリデイ “Everyday”

監督:マイケル・ウィンターボトム

出演:シャーリー・ヘンダーソン、ジョン・シム、ショーン・カーク、
   ロバート・カーク、カトリーナ・カーク、ステファニー・カーク

評価:★★★




 『いとしきエブリデイ』には、まだまだ幼い四人の兄弟姉妹が出てくる。良く似ている。…と思ったら、本当の兄弟姉妹だった。とにかく彼らの表情が愉快で、一瞬も目を離せない。とても自然だ。演技しているようには見えない。マイケル・ウィンターボトム監督は、一体どうやって彼らに指導したのだろうか。

 四人は英国、ノーフォークの田舎で母親と一緒に暮らしている。父親はロンドンの刑務所に入っている。彼らの5年に及ぶ歳月の内の数日を、少しずつ間を空けながら切り取っただけの映画で、家族の繋がり、流れゆく時間、当たり前の日々の嬉しさを大切にしている。そのためには父親役のジョン・シム、母親役のシャーリー・ヘンダーソン、そして四人兄弟姉妹を演じる子役たちは、どうしても「家族」に見えなければならなかった。

 おそらくウィンターボトムは、子どもたちに細かい演技指導はしていない。演出を極力削ぎ落とした画を選んでいる。細かく言われると子どもは、それが肉体に表れてしまうものだ。ウィンターボトムはそれを承知し、子どもたちと自分やスタッフ、大人の俳優たちの間に信頼関係を作ることを最優先している。ストーリーよりもセリフよりも、この映画では大切なことだ。もちろん推測だ。けれど、強くそう思う。

 その甲斐あって、カークという姓を持つ子どもたちの生き生きとした表情が素晴らしい。可愛らしく、溌剌としている。中でも次男のショーンが面白い。広く出っ張ったおでこ。まん丸の大きな目。ちょこまかした動き。とりわけ泣き顔が良い。自分の気持ちに素直に生きている感じが伝わってくる。

 本当の兄弟姉妹を起用した理由のひとつは、5年という年月を見せることにあったはずだ。大人はもちろん老ける(それでもシャーリー・ヘンダーソンは年齢不詳気味)。子どもたちは大きくなる。特に女の子たちの変身ぶりには目を見張る。こんなに劇的に変わるとは…。男の子たちはちょっぴり逞しさを増していく。あぁ、雄の血を感じる。そうした成長が嬉しさと、そして寂しさを誘う。

 こういう自然な流れを狙った映画は、作為が目につく危険に晒される。ウィンターボトムは概ねそれを避けることに成功しているけれど、それでもちょくちょく気になるところはある。例えば、長男ロバートが母の不在時に、銃を持ち出して、猟師がいる森の中へ迷い込んでいくところ。ストーリー上、キャラクター上の狙いは分かっても、他の場面から激しく浮き上がる。

 家族に寄り添いたくなる映画だ。父親が仮出所した際、夫妻が早速ベッドインするのに笑う。面会室でも密かに性的な振る舞いをしていたぐらいだから、ふたりはまだ互いを必要としている。時に過ちを犯すことはあっても、簡単にはその絆を断ち切ることはできない。子どもたちと笑い合う家族の風景がいつまでも目に残る。





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