ある愛へと続く旅

ある愛へと続く旅 “Venuto al mondo”

監督・出演:セルジオ・カステリット

出演:ペネロペ・クルス、エミール・ハーシュ、アドナン・ハスコヴィッチ、
   サーデット・アクソイ、ピエトロ・カステリット、ジェーン・バーキン、
   ミラ・ファーラン、ヴィニーチョ・マルキオーニ、ブランコ・ジュリッチ、
   ルカ・デ・フィリッポ、ブルーノ・アルマンド、ファウスト・ルッソ・アレシ

評価:★★




 ペネロペ・クルスとエミール・ハーシュは旅先のサラエヴォで出会う。イタリア人のクルスが学生(!)時代、アメリカ人のハーシュがカメラマンとして活動し始めた頃のこと。絶景が広がる雪山で目を交わしてから結ばれるまでがアッという間だ。何しろハーシュが積極的。強引モードにスイッチが入り、イケイケ押せ押せ。初めてのセックスなんて、オスがメスを求めて一直線、あと少しでレイプではないか。

 これまでハーシュが演じてきた役柄を考えると、少々面食らう。ハイテンションを崩さず、先輩クルスを息する間を与えないスピードで自分のペースに巻き込んでしまう。とは言え、陽気さの奥に生きる哀しみのようなものがちらつくのは、らしい。それがなければ聡明なクルスが惹かれることもなかったかもしれない。

 そしてハーシュの見せる複雑さこそ、『ある愛へと続く旅』のテーマに繋がっていく。そこには男と女が奏でる当たり前の愛があり、新しい命に親が見せる父性や母性があり、人生の厳しさをも包み込む人類愛がある。何と言うか、まさかそんな立派な方向に話が広がるとは…。

 ただし、説得力はさほど感じられない。まず、物語の軸が左右に揺れ過ぎだ。最初は普通のラヴストーリー。続いて子どもがなかなかできない苦しみの話。その後はサラエヴォ紛争の過酷さを伝え、かと思えばクルスの息子の出生の謎に絡んだミステリーが浮上。父の死にまつわる真実が明らかになった後は、前述のように人類愛が主役になる。

 メロドラマと言ってしまえばそれまでだけれど、じっくり読み込める小説なら効果的かもしれない展開が、映画的装飾を受けて大変くどく感じられ、なのに薄っぺらにしか伝わらない。時制が操られるのも鬱陶しいところだ。

 作り手はさらに、この話に共感を狙っている。最後に明らかになるハーシュが隠していた秘密が、それをもたらしてくれると信じているフシがある。でも、どうだろう。これはあまりに自分勝手な理屈の押しつけではないか。クルスは腑に落ちて胸を熱くしていたけれど、それで納得できるのがバカみたい。

 要するに話を過剰に美化しているように見えるのだ。物語に様々な要素を詰め込むことで、余白というものがなくなって息苦しい映画。登場人物の心模様を探るのではなく、その流れを追いかけるだけで終わっている。





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