デッドマン・ダウン

デッドマン・ダウン “Dead Man Down”

監督:ニールス・アルデン・オプレヴ
出演:コリン・ファレル、ノオミ・ラパス、ドミニク・クーパー、
   テレンス・ハワード、イザベル・ユペール、
   アーマンド・アサンテ、F・マーリー・エイブラハム

評価:★★★




 黒沢年雄との区別が難しくなってきたコリン・ファレルと交通事故で手術でも消えない傷を顔に負ったノオミ・ラパスが、初めてデートするまでの流れが良い。隣り合うアパートで暮らすふたりは、ベランダ越しに互いの存在を知り、エア握手を決めた後、レストランでディナーの場を設ける。食事をしながらぎこちない自己紹介。帰る途中の車内で、ラパスが切り出すセリフが意表を突く。「あなたがアパートで人を殺すところを見たわ。黙っててあげるから、私に傷を負わせた男を殺して欲しいの」。大分意訳。

 …というわけで、『デッドマン・ダウン』の主役カップルはかなり暗いふたりだ。当初の共通点は復讐心ぐらいしかなかったのに、何度か会う内に互いが抱える孤独に似た匂いを嗅ぎ取り、急激に距離を縮めていく。無口な男とお喋りな女は、どちらも本当は誰か心を温めてくれる人が欲しかった。ファレルが汗臭く、ラパスがちょいブスめなのが良い。分かりやすい美男美女では気分が出ないシチュエーション。暗いふたりは、とてもロマンティックなふたりでもあるのだ。

 互いを思うがゆえに互いが嘘をつく後半部で、切なさをたっぷり塗したロマンティックが最高潮に達する。中盤は淋しい魂が寄り添う景色を切り取ることに捧げられていて、その際に散りばめられた伏線が一気に回収されていく。ある種のカタルシスがある。

 その流れのままに突入するクライマックスは、ファレルがほとんど「ダイ・ハード」(88年)男と化す。大型の車で屋敷の壁に突っ込み、破壊力抜群のガンをぶっ放し、爆弾で彼方此方を吹き飛ばす。それまでの寂寥感溢れる風景まで画面外に追い出してしまうのに呆れ、でもちょっと可笑しい。

 アクションらしいアクションはこの他、中盤にも用意されている。レストランにいたターゲットをファレルが狙うものの、逆にピンチに陥る場面だ。縦の動きが印象的に撮られていてインパクトがあるのだけれど、振り返ってみれば、前述のクライマックスと共に全体から怖ろしく浮き上がっている。他の画面が静かであるがゆえ、ケレン味が極力排除されているがゆえだ。バランスは良くない。

 ファレルの言動の動機はありきたりかもしれない。もっとねっとりとした情念が感じられる過去でも良かった。ドミニク・クーパー扮する同期との関係も、淡白に済まされてしまった感。クーパーのキャラクターが立っていたら(鬼の形相を見せる場面に注目)、クライマックスはさらに盛り上がっただろう。





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