ファントム 開戦前夜

ファントム 開戦前夜 “Phantom”

監督:トッド・ロビンソン

出演:エド・ハリス、デヴィッド・ドゥカブニー、ウィリアム・フィシュナー、
   ランス・ヘンリクセン、ジョナサン・シェック、
   ジェイソン・グレイ=スタンフォード、ショーン・パトリック・フラナリー、
   ジェイソン・ベギー、ダグマーラ・ドミンスク、デレク・マジャール、
   キップ・パルデュー、ジョーダン・ブリッジス

評価:★★




 潜水艦を取り上げた映画は大抵面白い。暗く深い海の下、巨大なクジラを思わせる艦の中。そこは逃げ場のない閉塞感に支配された空間であり、設定だけである程度の緊張感が保証されるからだ。1968年冷戦下、南太平洋でソ連の原子力潜水艦が消えた史実を基にしたという『ファントム 開戦前夜』も、一定の緊張感は具えている。

 けれど、そこから膨らむはずのサスペンスは奥行きに乏しいものだ。ソ連の乗組員たちが英語で通したり、艦内の設計が不明瞭だったり、美術に作り物の色が濃かったり、狭いがゆえに上半身ばかりの画になったり…という不満もさることながら、音に対するセンスが鈍いのがいちばんの問題だ。

 言うまでもなく、海の底では小さな音が命取りになる。音をきっかけに敵国に位置を突き止められる。突き止められれば砲撃がある。砲撃されれば防御の手段は限られる。しかも逃げ場はない。ここでも艦長が敏感に音に反応する件がある。なのに全体を通しては、破廉恥なまでに音が暴れ回っている印象だ。仰々しいスコアが駄目押しする。静寂が生み出すはずのものが、乱暴に扱われる。

 加えて、終幕のアクション描写が雑だ。突如ナイフが喉元をかき切り、銃撃が始まり、人の命があっさり奪われる。80年代アクション映画と見紛う。悪役がいきなりランニング一丁になるのに苦笑い。シルヴェスター・スタローンかよ!艦長の暗い過去や脳損傷による発作も含め、物語と演出の装飾が脳ミソマッチョ的ということだ。ここは頭脳戦で魅せるべきところだろう。アクションの向こうにファンタジーが潜んでいるのにもギョッとする。

 さらに言うと、ソ連を描きながら、アメリカ賛美に持ち込むのが大いに野暮。アメリカ映画とは言え、もう少し現実感のあるセリフを捻り出せなかったか。「アメリカは立派だった」だなんて、笑わせにきているとしか思えない。ちゅーか、本当に吹き出す。

 それでもエド・ハリスの艦長ぶりは楽しい。すっかり老け込んでジイサン化が進んだものの、制服に身を包めば、シャキーン、やっぱり頼もしい。ウィリアム・フィシュナーが身体を張って慕うわけだ。ハリスとフィシュナーの間に流れる師弟関係に嘘臭さはない。デヴィッド・ドゥカブニーの相変わらずの退屈ぶりをカヴァーする。嬉しかったのはジェイソン・グレイ=スタンフォードが顔を見せたこと。TVシリーズ「名探偵モンク」(02~09年)同様、出てくるだけで和む。シリアス顔の男ばかりの中で、唯一ユーモラスな風を吹かせていたのが彼だ。終幕の活躍が尻切れとんぼだったのが、無念だ。





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