天使の処刑人 バイオレット&デイジー

天使の処刑人 バイオレット&デイジー “Violet & Daisy”

監督:ジェフリー・フレッチャー

出演:シアーシャ・ローナン、アレクシス・ブレデル、
   ジェームズ・ガンドルフィーニ、マリアンヌ・ジャン=バプティスト、
   ダニー・トレホ、タチアナ・マズラニー、コディ・ホーン

評価:★★★




 せっかく少女二人組の殺し屋の物語なのだ。しかもアレクシス・ブレデルとシアーシャ・ローナンが演じるのだ。衣装をとっ替えひっ替えするコスプレ映画にすれば良かったのに。最初の仕事でふたりは、尼僧に扮する。しかもなぜかピザをデリバリー。無表情に風船ガムを膨らませながら銃をぶっ放す画、なかなかフォトジェニック。その後のコスプレが清掃業者しかないのは、どう考えても不幸だ。

 とは言え、ローナンにはサーヴィス衣装があと二点用意されている。キャビン・アテンダント風の青いユニフォームは、ルイーズ・ブルックス風の髪型効果もあって、大変可愛らしい。バラをプリントしたワンピースも少女性をたっぷり感じさせて、ヴェリー・スウィート。あぁ、やっぱりもっとコスプレ・ショーに走って欲しかった。

 作り手がブレデルとローナンで遊んでいることは明らかだ。「アルプス一万尺」を何回もやらせるわ、道端の落書きを使ってケンケンパさせるわ、指相撲させるわ、牛乳を飲んだ後に白いヒゲをつけさせるわ、赤い飴をペロペロさせるわ…。大体殺し屋をする理由が、最新流行の洋服代のためだって言うんだから…。彼女たちがじゃれているところを愛でようというのが、第一目的のはずなのだ。

 …それにも関わらず、『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』はクエンティン・タランティーノ映画を意識しているフシがある。特に殺し場面。ドライに響く銃声。カメラにまで飛び散る血。唐突性。その前後に全く関係ない世間話が塗されるのも、らしい。

 けれど、少女メルヘンめいた方向に流されるのも早い。殺しのターゲットであるデブのオッサンとふたりは、仲良しこよしになる。あぁ、こんな良い人を殺さないといけないの?ふたりは(特にローナンは)苦悩する。演じるジェームズ・ガンドルフィーニがまとう哀愁に味があり、ついついオッサンの背景に踏み込み過ぎたようだ。「美少女に殺される」ことへの願望がちらつき始める。感傷と密着するそれが、臭くて鬱陶しい。

 しつこく繰り返すけれど、やっぱりここは、コスプレ満載のアイドル映画だという開き直りこそ、大切にして欲しかった。ブレデルはローナンと並ぶとさすがに老けて見えるけれど(それでも怖ろしい童顔だ)、ローナンは少女時代の最後の輝きを発散させている。ストレート・ブロンドを揺らしながら、涙を浮かべる画の美しさ。少女というものは、実は余計な装飾など必要ないことがよく分かる。なのに作り手はそれに気づかない。監督のジェフリー・フレッチャーは「プレシャス」(09年)の脚本を担当した人だ。不幸にやたら真面目に深刻に向き合った映画。それを考えると、これが限界なのかもしれない。




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