ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界

ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界 “Ginger & Rosa”

監督:サリー・ポッター

出演:エル・ファニング、アリス・イングラート、アレッサンドロ・ニヴォラ、
   クリスティナ・ヘンドリックス、ティモシー・スポール、
   オリヴァー・プラット、ジョディ・メイ、アネット・ベニング

評価:★★★




 「少女」という生き物について考察される。少女性と言うと、どうも世間ではレースやフリルいっぱいの雑貨や人形に囲まれたメルヘンティックな女の子に使うことが多い。けれどもっと重要なのは、ふわふわとした幼さを残した立ち居振る舞いの中に芯が通っていることだ。自分の世界があり、しかも穢れていない。天然のまま、生まれたままの状態で、世界を維持している。

 『ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界』のヒロイン、ジンジャーはその条件を満たしている。彼女が特異なのは、同じ日に同じ病院で生まれたローザという名の少女が、その世界の一部分を担っていることだ。生を受けてから何をするにも一緒だった、精神的に双子と言い換えて良いローザ。しかし、成長のスピードは同じではなく、物語の始まりからローザは既に少女性を喪失している。そしてそれが世界の崩壊の合図であることをジンジャーは気づいてない。ここが切ない。

 サリー・ポッターはジンジャーの世界が崩れていく瞬間を見つめる。遅かれ早かれ少女はそこから飛び出さなければならないわけだけれど、それは心と身体の成長に従って直面する現実により、「徐々に」、というのが普通だ。ところがジンジャーのその瞬間は、彼女の言動とは無関係に、突然に、残酷に、無慈悲に訪れる。

 少女性が強力な輝きを放つのは、外の世界への興味が出てきたときだ。ポッターはジンジャーの外側の世界に、核反対運動や実存主義、ロックといった時代の匂いの濃い要素を置く。とりわけジンジャーは核反対運動に傾倒していく。可愛らしいものに囲まれることよりも、社会への抵抗が内からの光を温める。その感じがとても良く出ている。

 ジンジャーが涙を流す画面が情緒豊かだ。ローザとある人物の行為による喘ぎ声を聞いたときを筆頭に、世界が崩れていくとき、それはジンジャーの胸の痛みに直結する。少女は少女でいられなくなるときが近づいていることを、無意識に感じ取る。

 ポッターがジンジャー役にエル・ファニングを起用したのは納得だ。今の映画界で彼女ほど少女性をキラキラ輝かせている女優は他にいない。姉のダコタは十代特有の少女性を感じさせる時期をすっ飛ばして、アッという今にツッパリ路線に走ってしまった。それを反面教師にしたのか、妹は無理に大人になろうとしていないのが良い。

 ファニングの少女らしさは不思議だ。別に美少女というわけではない。鼻は上向いているし、唇は左右対称ではない。顔の輪郭はおたふく風だ。それでもなお少女っぽいのは、丸くて赤い頬が物を言っていると思う。ジンジャー役では真っ青な目、真っ白な肌、真っ赤な髪の毛の対比も大変効いている。背は高過ぎるほどだけれど、全体の印象がとても柔らかなのだ。ただ、この身体つきは肥満だけは注意したい。油断するとアッという間に脂肪貯蓄が趣味になる危険あり、だ。





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