死霊館

死霊館 “The Conjuring”

監督:ジェームズ・ワン

出演:パトリック・ウィルソン、ヴェラ・ファーミガ、ロン・リヴィングストン、
   リリ・テイラー、シャンリー・キャズウェル、ヘイリー・マクファーランド、
   ジョーイ・キング、マッケンジー・フォイ、カイラ・ディーヴァー

評価:★★★




 人気の少ない寂れた田舎。古びた洋館。白い外観。緑の窓枠。レンガの煙突。越してくる家族。アンティークの家具。ひび割れた壁。薄暗い照明。謎めいた肖像画。3時7分で止まる古時計。見るからに呪われた人形。謎の地下室。風鈴。オルゴール。湖。捩れた大木。

 …というわけで、よくもまあと呆れてしまうほどに揃えられたホラー映画のシチュエーションを得て、『死霊館』は幕を開ける。愛犬の死を発端に始まる怪現象の数々に、目新しいところはほとんどない。それなのに怖い。ユーモアの一切を排除、ストレートに恐怖で勝負する。70年代という時代背景や衣装、音楽、何より俳優の力を大いに借りながら。

 まず、ヴェラ・ファーミガが怖い。ファーミガが演じるのは心霊現象の研究家。夫のパトリック・ウィルソンと一緒に講演を行いながら、各地の心霊現象を調査する。特殊なのは透視能力があることで、そのため彼女は見えないものが見える。怪異を目撃したときのファーミガの表情が怖い。真っ青な瞳に浮かぶ苦しみと恐怖。見えないものに怯えるファーミガが、次第に岸田今日子先生に見えてくる。

 しかし、それ以上に怖いのはリリ・テイラーだ。普通にしていても怖ろしい馬顔(ファニーにも見えるのが面白い)のテイラーが心霊現象に悩まされる。夫のロン・リヴィングストンと共に五人の娘たちを守りながら、自身も恐怖に怯えずにはいられない。テイラーとランプやマッチの明かりのコンビネーションが最高だ。顔の陰から何かが飛び出してきそう。お馬さんと岸田先生が写真の前で語り合う場面、何も起こらないのに奇妙に怖ろしい。

 ジェームズ・ワンはホラー映画の定番のツボを抜かりなく押さえているだけだ。いや、定番に忠実だからこそ、緊張感に貫かれたホラーを生み出せたと言うべきか。何が怖ろしいのか、その軸を果敢に揺らしながら、しかしそれを守り抜く賢明さを見せる。

 それが最も良く分かるのが、怒涛の展開を見せる後半部だ。セリフを与えられた登場人物たちが一斉に恐怖に突き落とされる。そのスピード感とハイテンションぶりが尋常ではない。怪現象が起こる場所へと次々飛びながら、人物整理が疎かにされることなく、なおかつ凍りついた空気の維持に成功している。

 しかも、その先にあるものに、ちょっとした感動を塗してもいる。それは二組の家族の間に流れる「情」と直結している。伏線が綺麗に回収される。ファーミガとテイラーの起用はここでも効いている。専門家夫婦の動かし方が都合良過ぎるのではないかとの不満は、静かに消えていく。





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