ルノワール 陽だまりの裸婦

ルノワール 陽だまりの裸婦 “Renoir”

監督:ジル・ブルドス

出演:ミシェル・ブーケ、クリスタ・テレ、ヴァンサン・ロティエ、
   トマ・ドレ、ミシェル・グレイゼル、ロマーヌ・ボーランジェ

評価:★★




 フランスの印象派の画家ピエール=オーギュスト・ルノワールには、個人的に「緑」と「肉」のイメージがある。ちょっと調べてみると、どうやらそれは晩年に描かれた一連の裸婦の画から来ているようだ。「私の作品に暗い色は要らない」というルノワールのセリフにあるように、「浴女たち」を始めとする後期作品には、色鮮やかな木々を背景に、ふくよかな女たちが陽を浴びて気持ち良さそうに横たわっている。

 『ルノワール 陽だまりの裸婦』はそうしたルノワール作品を映画として起こすことを目指したようだ。画面の隅々に広がるルノワール調の映像が目に優しい。とりわけ光の切り取り方には気が遣われている。自然の中で陶器のような肌を輝かせながら戯れる裸の女が美しい。バンビがひょっこり遊びに来ても不思議ではない。室内でも照明に細心の注意が払われていると思う。

 作り手が最優先する画面にはしかし、次第に退屈の気配が漂い始める。美しいし、ホッとするし、その世界に入り込んでもみたい。けれど何と言うか、それだけて完結してしまったような匂いが濃いのだ。そこから外の世界に広がっていくものが感じられないというか。

 それはおそらく、ルノワールという人物をあまりにも単純に解釈していることに起因している。我々の多くがルノワールの絵画を眺めて思うこと、それがそのまま形になる。それ以上でもそれ以下でもない。ハンティング帽に真っ白なヒゲのルノワール。手に筆を括りつけての作業。インスピレーションとなる美しく若い女。意図的に排除された毒気と闇。文明が介入していない風景。ルノワール自身も快楽以上のものを絵画に求めていないフシがあるけれど、同じスタンスで映画を作られると、刺激が不足する。ここにはルノワールにまつわる謎が全くないのだ。

 登場人物には一応の背景がある。作風とは裏腹に翳りのあるルノワールの人生。負傷により戦争から帰還した次男。ルノワールのミューズで次男と恋に落ちる謎めいた美女。母を亡くし反抗期にある末っ子。女ならではの静かなる確執が見える使用人たち。突然消えた以前のモデル。しかし彼らの物語は画面の装飾でしかない。

 得をしたのはモデルを演じるクリスタ・テレだろう。20年前だったらマリー・ジランがハマりそうな役柄。とにかく綺麗な画面を狙った映画だから、彼女が魅力的に見えなければ話にならない。くるくるの明るい栗色の髪。いやらしい唇。大き過ぎず小さ過ぎずの胸。肉付きの良い身体(特に太腿から尻にかけて)。モデルとして、と言うより女として旨そう。もちろん褒めている。

 ミシェル・ブーケ演じるルノワールは、特にクセのある人物ではないこともあり、好々爺以上の印象は残さない。面白かったのは、使用人の女たちに担がれて車椅子のまま移動する画ぐらいだろうか。





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