かぞくモメはじめました

かぞくモメはじめました “Parental Guidance”

監督:アンディ・フィックマン

出演:ビリー・クリスタル、ベット・ミドラー、マリサ・トメイ、
   トム・エヴェレット・スコット、ベイリー・マディソン、ジョシュア・ラッシュ、
   カイル・ハリソン・ブライトコフ、ジェニファー・クリスタル・フォーリー、
   ローダ・グリフィス、ゲディ・ワタナベ

評価:★★




 固定電話の保留機能が使いこなせない。カーナビもちんぷんかんぷん。FacebookやTwitterなんて聞いたことがない。パソコンすら持っていないかもしれない。野球の実況アナウンサーの仕事を首になったばかりの主人公のジイサンは、そういう人だ。その彼が数日間、孫の面倒を看ることになる。斯くして強調されるのは、厳しくも愛情深い昔ながらの子育てと、優しく自主性を見守ることと甘やかすことを履き違えた現代の子育ての対比だ。もちろん暴力云々はまた、別の問題。

 白い目で見られるのは当然昔ながらの子育てになる。今の子育てについていけないジイサンとバアサンが積極的にバカにされる。これが笑えない。どう考えてもジイサンバアサンの方が正解で、むしろお調子こいた子どもたちが不愉快に映る。あぁ、こういうのが、学芸会で全員が主人公を演じたり運動会で順位付けがなされないのを当たり前のように受け入れる社会を生むのだ。

 …と嘆いていたら本当に、三振がなく、スコアもつけない野球が出てくるから驚いた。勘弁してくれ。ただしこの映画、そういう子育てマニュアルを考察するところを目指した映画ではないと読めてくるので(いや、作り手はそのつもりなのだろうけれど)、バカ子育て論自体は次第に気にならなくなる。ちゃんと昔ながらの子育ても受け入れられていくし…。

 では何を目指しているのかと言ったら、「ミート・ザ・ペアレンツ」(00年)を意識している。「ペアレンツ」は“嫁の父親がロバート・デ・ニーロだったら”をテーマに置いた家族コメディ。そして『かぞくモメはじめました』は、“ジイサンがビリー・クリスタルだったら”“バアサンがベット・ミドラーだったら”を、他の何よりも主眼に置いている。

 クリスタルのジイサンぶりはそこそこまとまっている。時代についていけない人間の哀しさを仄かに感じさせながら、他人を傷つけない穏やかな笑いを振り撒くのは昔から同じ。頬のたるみと一緒にかつての切れ味は落ちてしまったものの、無害ではある。ただ、豪華なシットコムに見えるのが、今のクリスタルを象徴しているかもしれない。

 それに較べると、ミドラーはある意味、見ものだ。久しぶりの映画出演で気合いが入っているのが一目瞭然。撮影当時、60代半ばのはずだけれど、しわが全然なく、化粧は3時間はかけたのではないかと思われる念の入れよう。照明はひとりだけ別に用意され、ドスコイ体型の割りに脚は絞られている。するとどうなるか。昔からその傾向はあったものの、ひとり顔面歌舞伎状態になる。いやホント、今にも見得を切りそうなのだ。ちゅーか、やらせてみたいぞ歌舞伎。不自然な流れで歌を披露する場面もあるミドラーは、クリスタルよりノリノリだ。

 驚くべきはベイリー・マディソンだ。彼女を観る度に思うのだけれど、この子役の演技は強烈だ。表情の作り方が柔軟で、しかも意表を突くものばかり。利口なだけの子役からは感じられない感受性の豊かさが溢れ出ている。クリスタルもミドラーもマリサ・トメイもココリコ田中直樹そっくりになったトム・エヴェレット・スコットも完全に喰われた。そして上手いだけに、マディソンが出てくる度に才能の無駄遣いを嘆くことになる。





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