ビザンチウム

ビザンチウム “Byzantium”

監督:ニール・ジョーダン

出演:ジェマ・アータートン、シアーシャ・ローナン、サム・ライリー、
  ジョニー・リー・ミラー、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、
  ダニエル・メイズ、ダリア・ドイル・ケネディ、ウォーレン・ブラウン、
  トゥーレ・リントハート、トム・ホランダー

評価:★★




 ニール・ジョーダン監督の吸血鬼物と言うと、どうしても「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」(94年)の悪夢を思い出すわけだけれど、ここには吸血鬼になっても太陽のようなオーラを消せないトム・クルーズも、彼と並ぶとのっぺり顔が際立つブラッド・ピットもいない。代わりにジェマ・アータートンとシアーシャ・ローナンが吸血鬼になり、血と戯れる。ジョーダンもファンタジー方向に深く入り込み過ぎない。勝算はある。

 アータートンとローナンが演じるのは200年以上を吸血鬼として生きている母と娘だ。追っ手から逃げながら町の隅っこで隠れるようにして生きるふたりの今と、その哀しい過去を交錯させながら描く。面白いのは断然過去の描写だ。時代の空気と吸血鬼の存在が妖しく溶け合う。

 それに較べると現在の描写は味気ない。まず、タイトルにもなっている、ふたりが滞在する『ビザンチウム』が退屈だ。アータートンが善良な男を丸め込み、女主人となる娼館。男と女が肉と肉をぶつけ合う、吸血鬼のエロスとの相性が良い空間のはずなのに、住処としてしか機能していない。妖気が全く感じられないのだ。

 加えて永遠の命がもたらす虚しさが希薄だ。ローナンは16歳の容姿でありながら、さすが実年齢200歳、人生を達観・諦観しているのだけど、それが実感として得られない。ジイサンバアサンだけを狙う画には違和感ばかり。その反動か、白血病の少年と恋に落ちるという、100年前の少女漫画な状況には、むしろ浮かれているように見える。簡単に正体をばらすのもどうなんだ。

 しかし、最もショックだったのは、ローナンの容貌の変化かもしれない。成長期真っ只中のローナンから、あの透明感が消えかかっている。背が伸びたこと、骨が太くなったこと、そしてエラが主張し始めたことが原因だ。ジョーダンは真っ青な瞳と流れる真っ赤な血、そして透明な佇まいの対比に賭けたのだろうに、何と言うか、役どころのせいもあり、面倒臭い少女にしか見えないのだ。とは言え、横顔はまだ綺麗。身体全体を映さないと、なお良い。

 ジョーダンらしい詩情が感じられる場面は案外少ないものの、それでも「血」の見せ方は残酷で美しい。赤という色が持つ複雑怪奇な正と負の感情がせめぎ合いを見せている感じで…。傷口から滴り落ちる赤、エレヴェーターに溜まる赤、ローナンが常に来ているフード付きパーカーの赤…それぞれに胸に残るけれど、とりわけ吸血鬼になるための孤島から流れる赤が強烈だ。黒い大地に溢れる赤が、血の涙に見える。





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