ウォーム・ボディーズ

ウォーム・ボディーズ “Warm Bodies”

監督:ジョナサン・レヴィン

出演:ニコラス・ホルト、テリーサ・パーマー、
   ロブ・コードリー、デイヴ・フランコ、アナリー・ティプトン、
   コリー・ハードリクト、ジョン・マルコヴィッチ

評価:★★★




 80年代頃からだろうか。異生物と人間の恋愛映画は珍しくなくなった。天使やら人魚やらエイリアンやらマネキンやら狼人間やら…挙げればキリがないほどに、ハリウッドは異生物と恋に落ちてきた。最近ならヴァンパイアとの恋愛が大流行している。『ウォーム・ボディーズ』も異生物間恋愛映画の流れに位置する。死んだ人間と生きた人間が恋に落ちるからと言って、「ゾンビ映画」に括るのは間違いだ。

 …と言うのもこの映画、ゾンビの掟を破ることにあまりにも無神経。親でも友人でも恋人でも、ゾンビになった途端、敵になるという切なさには見向きもせず、男と女のいたって普通の恋愛に流れるワクワクドキドキに賭けている。ゾンビならではの哀しみやおかしみは、潔く犠牲にされている。目指すはゾンビと人間の恋を気持ち良く成立させることなのだ。具体的には…。

 ゾンビが救いようのない生き物でないことを示すために、ゾンビよりもさらに酷い状態となった「ガイコツ」の存在を創り出している。おかげでゾンビはちっとも怖くない。人間の脳を喰らうと、その人間の記憶がゾンビにコピーされる。主人公ゾンビは恋の相手の恋人の脳を食して、情報を仕入れることに成功。ずるいだろう。恋することで、恋されることでゾンビが人間に戻り始める現象が発生。だから主人公の恋も絶望的ではない?こういうのを抜け道という。ゾンビ映画と呼ぶには、あまりにも掟破りが多い。

 ただし、楽しい気分は途切れない。異生物間恋愛映画としては機能しているからだ。ゾンビ役としてニコラス・ホルトがハマっていることが大きい。ひょっとして人間役のときより生き生きしているのではないか。子役出身のホルトは身長が気持ち良く伸びたし、顔立ちも美形に入るのかもしれない。けれど主役を張るにはもうひとつインパクトに欠けていた。頬骨が高い割りに、顎が細いのがダイナミズムの欠如に繋がっている。ところが…。

 ところが、ゾンビメイクをしたらあら不思議、その顎の未成熟(と言うか未発達)なところが、青白い肌の色とベストマッチ、シャープに美しく見えてくるではないか。生気を失った青い目とのバランスが良いし、所々に浮かんだ血管や蚯蚓腫れ、赤黒い血もアクセントとして最高。髪の毛が若々しい色のままなのも、ハンサムゾンビ色を際立たせている。赤いパーカーと青いジーンズ、着用服の組み合わせも可愛い。ゾンビが綺麗で良いのかなんて、突っ込んじゃダメ。残りのゾンビは皆、ブサイク。

 恋をしたゾンビは飼い主に懐く犬みたいだ。全力で君を守ると一途にキメて、いじらしさ全開。そりゃテリーサ・パーマーも惚れるだろう。調子に乗った作り手は、ロマンティック・コメディの定番演出を繰り出す。恋に落ちる瞬間のスローモーション。赤面必至のベタな選曲(しかもレコード)。ピンチのときは身体を張ってパーマーの前に立つ。気を良くしたパーマーはちょっとした女王様だ。彼女もそれを楽しんで、「ロミオとジュリエット」ごっこに興じたり…。

 確かにゾンビ映画ではない。けれど、それを受け入れたくなる。妙に寛容を誘うのだ。若いふたりの恋模様にえくぼがある。目くじらを立てて文句を言うのは野暮というものだ。





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